文科省が入試改革方針案を公表-推薦・AOでも知識・技能を評価

●共通テストの記述式は80~120字で3問程度
●早ければ2020年度にも英語外部検定試験に全面移行
●入試スケジュールの変更を検討

文部科学省はこのほど、センター試験の後継として2020年度から導入する「大学入学共通テスト」(仮称)の基本方針案をはじめ、高大接続改革の検討内容を公表した。各大学がアドミッション・ポリシーを明示し、それに基づく適切な手法によって、入試区分にかかわらず学力の3要素を多面的・総合的に評価する入試への転換を図る。社会で求められる人材像をふまえ、従来の知識偏重の教育から、知識を活用して課題を解決するためのアウトプットの力を重視する教育へと変えることがねらい。高校の学習指導要領をふまえた記述式問題や英語外部検定試験の導入など、高校教育改革と入試改革を連動させ、大学教育改革を進めながら円滑な高大接続を図ることを掲げている。
*文科省の公表資料はこちらから
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/05/1385793.htm


 文科省は今回示した案について広く意見を求め、それを反映したうえで6月に方針を決定する予定だ。各大学は3年後に迫った入試改革本番に向け、具体的な検討への着手を求められている。
 方針案の概要について、補足説明も加えて紹介する

●共通テストー成績提供は1週間後ろ倒しを検討

●新テストの名称:大学入学共通テスト(仮称。「大学入学希望者学力評価テスト」から変更)
●導入年度:2020年度(2021年度入学者が対象)
●実施主体:大学入試センター(以下「センター」)
●実施時期:1月中旬の2日間
●成績提供時期:現行の1月末~2月初旬頃の設定から1週間程度遅らせる方向で検討
*記述式問題の採点時間を確保するため
●科目数:当初は現行と同じ30科目。新学習指導要領の下での科目構成見直しに合わせ、2024年度以降は簡素化を図る●マークシート式問題:思考力・判断力・表現力をより重視した作問となるよう見直す。

<国語・数学の記述式>

・作問、出題、採点はセンターが実施。採点は民間業者に委託
・段階別評価を検討
・試験時間は国語を現在の80分から100分程度に、数学は60分から70分程度に
・2024年度から地歴・公民や理科でも記述式問題を出題することを検討

●国語
・マークシート式とは大問を分け、80~120字程度で答えさせる3問程度を出題
・これとは別に、センターが200~300字程度で答える記述式問題を提供し、一定の期日に各大学が個別試験で実施して採点まで行う方式についても検討する
*これにより、国立大学協会が打ち出した、個別試験で「高度な記述式」を課すとの方針の実現を図る。
●数学
・大問の中にマークシート式と記述式3問程度を混在させる

<英語>
●英語外部検定試験で4技能を評価する
・外部検定試験への全面移行については「2020年度のスタート時から」か、「新学習指導要領導入後の2024年度以降(それまではセンターが作問する2技能の試験も併存させ、各大学がいずれか、または両方を選択)」か、引き続き検討して6月までに決定
・検定試験の認定においては学習指導要領との整合性を確認する
・成績評価は各試験のスコアのほか、CEFR(外国語の学習・評価のためのヨーロッパ共通参照枠)に対応した段階別評価で行う
・試験の結果はセンターが一元的に集約し、大学に提供する
・受検者は検定試験出願時に自分の成績をセンターに送付するよう申請
・高校教育への影響を考慮し、受検時期は高校3年以降の4月~12月とし、2回まで受けられることとする

<共通テストの結果の表示>
・各大学がAPに基づいて得点比重をかけられるよう、総合的な結果に加え設問、領域、分野ごとの成績も提供する
・センター試験の国語では「現代以降の文章」「古文」「漢文」の3分野の成績を別々に提供しているが、共通テストでは「国語」として一括で提供するよう検討
*現行の学習指導要領では古典を含む国語総合が「共通必履修科目」として設定されているため
*現在は古典を課す大学の受験者と課さない大学の受験者との間で試験時間の不平等が生じており、これを解消する。

●個別試験-推薦・AOで小論文やプレゼン、共通テスト等を活用

<入試区分>
●次のように変更(いずれも仮称)
・一般入試→一般選抜
・AO入試→総合型選抜
・推薦入試→学校推薦型選抜
*従来、文科省の区分上はAO入試に分類されながら、高校や大学の現場を含め一般的には「推薦入試」の区分で捉えられ「AO入試との違いがわかりにくい」と指摘されてきた自己推薦、および指定校推薦を「学校推薦型」とは明確に切り離し、「総合型選抜」としてあらためてAO入試と同じ区分に組みこんだ。

<総合型選抜(AO入試)・学校推薦型選抜(推薦入試)>
・国公私を問わず、知識・技能を問う試験を課す
・総合型選抜については、実施要項上の「知識・技能の修得状況に過度に重点をおいた選抜とせず」との記載を削除
・学校推薦型選抜については、実施要項上の「原則として学力検査を免除」との記載を削除
・具体的には小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、科目試験、資格・検定試験、大学入学共通テストなどを活用
・出願時期は総合型選抜が9月以降(現行は8月)、学校推薦型選抜は11月以降(現行通り)
・合格発表時期は総合型選抜が11月以降、学校推薦型選抜は12月以降(現行は規制なし)
・総合型選抜については、知識・技能の評価や実施時期の配慮等で質を担保することを前提に、募集人員には制限を設けない。
*AO入試の募集人員については、国大協が推薦と合わせて入学定員の5割以内と定めるなど、抑制を図る傾向にあった。今回の改革の議論では多面的・総合的評価という理念の下、一般入試を偏重しAO入試は相対的に劣るものと捉えることへの疑問が投げかけられた。最終的に、「時間をかけて多面的・総合的評価に取り組むのであれば、選抜の枠に上限を設けることには意味がない」という結論になった。
・学校推薦型選抜の募集人員は現行同様、入学定員の5割以内

<その他>
・各大学の一般選抜の実施時期は現行の2月1日~4月15日を前倒しし、1月25日~3月25日とする
*各大学の一般選抜でも記述式問題や小論文、プレゼンテーションなどの導入によって多面的・総合的評価を促す観点から、これらの実施に要する期間を確保する
・一般選抜で小論文やプレゼンテーション等を課す場合は、1月25日以前でも実施できることを明確化する。
*現行の「2月1日以降」の縛りも科目試験が対象
・特に12月以前に入学手続きした生徒について、入学前教育を「積極的に講ずる」ことを入試実施要項に盛り込む


*これまでの入試改革の検討に関する記事はこちら

文科省が新テストの記述式の採点を民間に委託する案を提示
http://between.shinken-ad.co.jp/hu/2016/11/setsuzoku-kijutsushiki.html

高大接続改革の進捗状況-共通テストの記述式を大学が採点する案も
http://between.shinken-ad.co.jp/hu/2016/09/setsuzoku-shinchoku.html

大学が求められる高大接続改革
http://between.shinken-ad.co.jp/hu/2016/04/post-18.html