新共通テスト検討会議で「このテストのみでの測定は難しい」と確認

●英語外部検定への全面移行時期をめぐる意見に温度差
●記述式問題の自由度と採点所要時間との関係に悩ましさ
●段階別評価による入学定員管理厳格化の難しさの指摘も

入試改革に関する文部科学省の有識者会議「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」検討・準備グループの第10回会合がこのほど開かれた。段階別評価を前提とした英語外部検定試験への全面移行時期や国語の記述式問題の内容について、考え方の温度差が浮かび上がったが、「共通テストだけで全て測れるわけではない」との認識ではほぼ一致した。


●CEFRとの対照の信頼性、受検負担軽減等の課題を確認

 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」検討・準備グループの会合はこれまで非公開で開かれてきたが、テスト名称を変更した「大学入学共通テスト(仮称)」の基本方針案を5月16日に公表したのを受けて公開にした。検討状況を広く知らせて高校や大学の関係者、国民一般の理解を促し、意見を取り入れることがねらい。
 10回目の会合では、共通テストでの英語外部検定試験活用の仕組みや記述式問題のモニター調査実施結果について、大学入試センターが説明。その後、委員が意見を交わした。
 基本方針案では、英語外部検定試験への全面移行時期について「2020年度の共通テストスタート時から」「新学習指導要領施行後の2024年度以降(それまでは2技能の試験も併存)」という2案が示された。これについて、ある委員は「英語だけいきなり段階別の到達度評価になり、他の教科は選抜型(素点)というのは無理がある」と述べ、2020年度移行に慎重な姿勢を示した。他の委員から「外国語には英語以外の科目もあり、英語だけ変えるのは難しいのでは」「検定試験の使われ方がよくわからず高校現場が混乱する」といった意見も聞かれた。
 一方で、「1点刻みの評価からの脱却が今回の議論の出発点。英語を先にスタートさせ、他の科目についても段階別評価への移行を考えるべき」「多少、不完全な形でも(4技能への一本化を)急いで進めるべき。グローバル化が急速に進む中で語学が2技能だけでいいのか」などの声も。
 各検定試験のCEFR(外国語の学習・評価のためのヨーロッパ共通参照枠)との対照についての信頼性確保、受験生への経済支援による受検機会の保障なども課題として挙げられた。
 複数の委員から「共通テストは万能ではない」「それだけで全てを測るのは無理」といった指摘が相次いだ。委員の一人は閉会後、「今の時点で多くの委員は、共通テストと個別試験を組み合わせて合否判定する方式を想定している」と話した。
 会合では国語の記述式問題について、公表されたモデル問題に加えて、「より回答の自由度が高い問題」や「小説や評論の問題」も示してほしいとの要望が出た。これに対し、「自由度が高い問題は採点に時間がかかる。成績提供時期の遅れは私立大学にとって死活問題」として、現状のモデル問題の内容に理解を示す委員もいた。

●「共通テストでの弁別が困難になる私大も出てくる」

 その他の主な発言(趣旨)は次の通り。

・共通テストはセンター試験とは機能が違うということを明確にすべき。
・記述式が入ることによって難易度が上がり、共通テストでは弁別性が働かない私立大学も出てくる。
・マークシート部分は難易度を下げ、それにプラスアルファする形で記述式を課すという位置付け方がいい。
・記述式モデル問題の公表によって、今の高校の学習指導要領を広く知らせることができた。メディアでは入試改革のことばかり取り上げられるが、高校教育改革についてもアピールすべき。
・共通テストは高校生へのメッセージとすべきだし、大学は高校生が経験してきた学びを受け止められる教育に変えるべき。
・成績提供時期が今より遅れることで、私立大学の中には実施時期を含めて入試制度全体を大きく見直すところも出てくる。
・段階別評価と入学定員管理厳格化との両立は難しく、文科省の見解、対応が問われる

 座長は最後に、残された課題として①採点体制、②大学、高校への周知、③問題の検証、④どう実施するか-を挙げた。なお、テストの名称は変わったが、議論の継続性を重視し、会議名称はこのままにするという。

「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」検討・準備グループの委員
荒瀬克己(大谷大学教授)
座長 岡本和夫(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構理事)
沖清豪(早稲田大学入試開発オフィス長)
川上浩良(首都大学東京入試改革担当学長補佐)
関根郁夫(十文字学園女子大学特任教授)
東島清(京都大学監事、大阪大学名誉教授)
平方邦行(工学院大学付属中学・高校校長)
宮本久也(東京都立西高校校長)
安井利一(明海大学学長)


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