進学率が高い高校で進みつつある入試改革への対応-ベネッセ調査

●進学率81%以上の公立普通科高校の8割弱で国の入試改革情報を共有
●進学校も多様校も同様に、資格・検定試験の受検奨励に積極的
●大学は、待ちの姿勢ではない主体的な入試改革の推進を

大学進学率が8割を超える公立普通科高校の57%は、大学入試における英語4技能測定に対応した指導や問題研究に取り組んでいる――。ベネッセ教育総合研究所による「第6回学習指導基本調査」から、高校現場で入試改革への備えが進みつつあることがわかった。大学はこうした高校の姿勢に呼応すべく主体的な入試改革に取り組んでその情報を発信し、高校との共同による接続改革を図る必要がある。
*同調査のプレスリリースはこちら
 http://berd.benesse.jp/up_images/research/Sido_PRESS_0321.pdf
*「第6回学習指導基本調査 DATA BOOK(高校版) 2016年」はこちら
 http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5081


 「学習指導基本調査」は学習指導と教員の意識の実態をとらえ経年での変化を見ることを目的に、小・中学校については1990年代後半から継続して実施している。高校の調査は2010年に始まり今回が2回目で、2016年8月から9月にかけて全国の公立、私立の高校の校長と教員を対象に実施された。高大接続改革、大学入試改革の議論の進展をふまえ、校長に対する調査で関連の設問を加えた。今回、調査結果を紹介する公立普通科高校からは775人の校長が回答を寄せた。
 下の図は、公立の普通科高校における入試改革への対応を4年制大学への進学率別に示している。
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 進学率が高いほど入試改革への対応がより積極的であることがわかる。「国での入試改革の検討状況についての教員の理解の促進・情報共有」は、進学率81%以上の高校で「力を入れて取り組んでいる」+「取り組んでいる」が78.3%に上った。進学率61~80%の高校においても64.1%。新学習指導要領と共に高校現場に大きな影響を及ぼす入試改革について、学校を挙げて理解を深め、対応していこうとの積極的な姿勢がうかがえる。
 「大学入試で評価の対象となる資格・検定試験などの受検の奨励・指導」については、上記2つの進学率区分、さらに進学率31~60%の高校のいずれでも、ほぼ同じ60%超で取り組まれている。現状、資格や検定試験は推薦・AO入試で評価の対象とする大学が多く、これらの入試方式で受験する生徒が多数を占める進路多様校では従来、受検が奨励されてきた。GTECや英検等、英語外部検定試験の入試への導入が増え出したのを受け、進学校でもこれらを奨励していると推測される。
 進学率81%以上の高校では検定試験の奨励のみならず、「大学入試の英語の4技能測定に対応した指導やテスト問題の研究」についても、56.6%が取り組んでいる。2020年度から始まる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」でも英語外部検定試験の積極的な活用方針が打ち出される中、大学進学者が多い高校にとってはより積極的な対応が必須になっていると言えそうだ。
 
 「思考力・判断力・表現力を測るテスト問題の研究」については進学率81%以上の高校の46.6%で取り組まれている。先に挙げた項目より低いのは、思考力等を評価する新入試の導入が英語外部検定試験等に比べて活発化しておらず、高校にとって対応が難しいことも一因と考えられる。
 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の詳細が明らかにならないと個別試験の改革を進められないと考える大学が多く、2017年度はじめに文部科学省から同テストの実施方針が示された後、各大学の入試改革が動き出すことも予想される。ただ、一部の大学は、すでに共有されている入試改革の理念と方向性をふまえ、改革に着手している。自学の課題に応じた改革を主体的に進め、その情報を高校に発信していくことが高校の教育改革の支援となり、高大接続改革の進展にもつながるはずだ。

●調査を担当したベネッセ教育総合研究所初等中等教育研究室・吉本真代研究員のコメント
2020年度の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の実施が近づく中、「思考力・判断力・表現力を測るテスト問題」や「記述式問題」の研究は、「今後取り組む予定」との回答が高くなっています。対応に取り組んでいる高校においても、入試で測ろうとしている「思考力・判断力」の定義が曖昧なため、進めづらいという話も聞きます。文部科学省からの早期のより具体的な情報の提示が待たれます。


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