2017.0203

創価大学が2018年度入試からアクティブラーニング型のAO入試を導入

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3行でわかるこの記事のポイント

●予習+グループディスカッションの授業を入試に応用
●評定平均値と合わせ、学力の3要素を総合的に評価
●入学後の授業への適性、伸びしろを見る

創価大学は2018年度入試から、AO方式による「PASCAL(パスカル)入試」を導入する。アクティブラーニングの手法の一つ「LTD(Learning Through Discussion)」を採り入れ、グループディスカッション等によって学力の3要素を多面的・総合的に評価する入試だ。
大学のウェブサイトでの説明はこちら
http://www.soka.ac.jp/admissions/department/pascal03/


●完成年度前の学部を除き、全学部で実施

 「PASCAL入試」は「Performance Assessment of Students' Competency for Active Learning」の頭文字で、思想家パスカルが象徴する創造的知性にもちなんだ名称だという。アクティブラーニングに対応できるコンピテンシー(行動特性)を、ペーパーテストではなくパフォーマンスで測る。
 2016年度現在、完成年度に達していない国際教養学部と理工学部を除く全学部(経済、経営、法、文、教育、看護)の6学部7学科で、全入学定員の約6%にあたる計100人を募集する。
 創価大学はこれまで、他大学に先駆けて積極的にアクティブラーニングを導入。予習とディスカッションで構成されるLTDは、2004年度のカリキュラム改訂時に経済、経営両学部の基礎演習で取り入れて以来、他学部含め多くの授業で活用されている。予習によって得た知識をディスカッション等のグループワークによって深化させ、知識を活用する力を定着させる手法だ。
 しかし、高校までにアクティブラーニングの経験がなく、入学直後の授業に戸惑う学生も多いという。そこで、自学のウェブサイトで「LTDガイダンス映像」を公開し、こうした授業に興味を持った高校生にPASCAL入試で実際に経験してもらい、主体性や協働する力といった適性と伸びしろのある学生を確保したい考えだ。

●2人の教員がルーブリックに基づき「理解の深化」等を評価

 PASCAL入試の具体的な流れは以下の通り。

  1. 調査書、自己推薦書等による1次選考
  2. 1次選考通過者は提示された予習教材を読み、「LTDガイダンス映像」を参考に予習ノートを作成
    予習教材は全学部共通で、高校生の関心の高そうなテーマや大学での学びを示唆するテーマの新書、論考等から抜粋。予習ノートは、LTDの一般的な流れを簡略化した「語彙の理解」「主張の理解」「話題の理解」「知識・自己との関連づけ」というステップで構成され、教材から読み取ったこと、考えたことを書き込む。
  3. 2次選考当日、6人1組のグループワークを実施
    ワークは55分間で、1教室で2グループが同時進行する。予習ノートを使い、LTDの流れに沿って上記各ステップの話し合いを行う。教員2人がそれぞれ両方のグループの評価を担当し、ルーブリックに基づいて「自分の意見を積極的かつ的確に表現できているか」「他者の意見に接して教材への理解を深めているか」といった観点で評価する。
  4. 同じ日に予習教材と関連のあるテーマの小論文と面接を実施

●志望度の高い受験生を求めて公募推薦も見直し

 創価大学では、以前も面談中心のAO入試を実施していたが、期待した成果が得られなかったため、7年ほど前に廃止。今回、学力の3要素を多面的・総合的にみる入試に刷新した。グループワークを通して思考力や表現力、主体性、協働性などを評価。評定平均値3.5以上を出願資格にして基礎的な知識・技能も担保する。
 2017年3月以降行われる6回のオープンキャンパスでPASCAL入試の試行としてLTD体験コーナーを実施。事前に申し込んだ30人程度の受験生に学習課題、予習ノートの様式、ガイダンス映像を提供し、グループワークを体験してもらう。
 同大学では、学力選抜に比べ、推薦入試による入学者の方がGPAの伸びが大きいことに着目し、PASCAL入試をはじめ、志望度の高い受験生を獲得するための入試改革に力を入れている。同じ2018年度入試では、公募推薦入試も見直す。学科の併願制度をやめて専願とし、3人1組で実施している面接を個別方式に変えて時間も倍増させる。これらにより、志望理由の明確さや主体的な学習姿勢をじっくり確認するという。