大学生の振り返り調査<上> 大学での学び方で「戸惑い・つまずき」

●全体の7割近くが「学びの内容は入学前に思い描いたものと異なる」と感じた
●2020年度入学生は2019年度入学生に比べ学びの充実度・成長実感が低い
●新入生に対する支援の見直しが必要

進研アドは2019年度に大学・短大に入学した学生と2020年度に大学・短大に入学した学生を対象に、入学直後に感じた戸惑いやつまずき、入学前から初年次にかけての「高大接続期」における学習支援への期待について、今年2月に調査した。新入生が大学での学びに戸惑いを感じている状況や、大学に期待する支援の内容などが明らかになり、導入教育の重要性があらためて浮き彫りになった。コロナ禍のような外的要因がある一方で入試改革による入学者の質の変化も想定される中で、今後大学は高大接続期の支援の在り方を見直す必要がありそうだ。2回に分けて報告する調査結果のうち、今回は新入生が感じる「戸惑い・つまずき」などについて見ていく。


●886人を対象にインターネット調査を実施

 今回の調査は、新入生が大学入学後、どのようなことに戸惑いやつまずきを感じ、入学前から初年次にかけての「高大接続期」において、大学に何を期待しているのかを探るために実施した。2019年度入学生には入学直後を振り返って回答してもらった。コロナ禍のさなかで大学生活をスタートさせた2020年度入学生と比較することによって、コロナ禍による影響も浮かび上がった。
 調査概要は以下の通り。

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●今年度の新入生に特に多い「学びの内容が思い描いたものと違う」

 「大学での学びの内容」は、入学前に志望校研究を通して理解し、思い描いていた通りだったかと尋ねたところ、2019年度入学生と2020年度入学生の全体で67.7%が「大きく異なった」「やや異なった」と回答した。
 「大きく異なった」と回答した2020年度入学生は39.4%で、2019年度入学生の13.1%の3倍に上った。思い描いていた内容と異なっていた点に関する2020年度入学生の自由記述では、コロナ禍の影響によるオンライン授業への切り替え、実習や留学の中止などが挙がった。

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 2019年度入学生と2020年度入学生に共通する自由記述は「専門的なことを学べると思っていたが、一般教養や基礎的な内容が多かった」「実践的なことを学べると思ったが、理論的な内容が多かった」といった内容。このギャップが学修意欲の低下につながらないように、「大学での学び」への理解を深めるための施策が必要と言えそうだ。

●「戸惑い・つまずき」ポイントは学習計画の立て方など

 入学直後から夏休みまでを振り返り、学びに関して感じた「戸惑い・つまずき」を複数回答で選んでもらったところ、最も多かったのは両年度とも「レポート課題に対して、どのように勉強すればよいか分からなかった」 (2019年度入学生 30.5%, 2020年度入学生 50.0%)だった。それ以外の上位の項目も共通で「学習の到達目標がわかりにくく、どのように勉強すればよいかわからなかった」、「自分の将来の目標に対して、どのように学習計画を立てればよいかわからなかった」「自分の将来の目標に対して、どのような科目を履修すればよいかわからなかった」など、大学での学び方に関する「戸惑い・つまずき」が多かった。
 全体的に2020年度入学生の方がより強く「戸惑い・つまずき」を感じていて、「課題が多く、ついていけないと感じた」学生の割合は2019年度入学生が11.5%だったのに対して、2020年度入学生は26.1%と2倍以上に上る。後者はコロナ禍によって入学直後からオンライン授業が中心になり、特にオンデマンド形式では対面授業と比較して課題が多くなる傾向があることも関係していると考えられる。

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●今年度の入学生の多くがオンライン授業への対応の難しさを指摘

 初年次の学びを振り返り、「とても充実していた」「まあ充実していた」と感じているのは、2019年度入学生82.8%に対して2020年度入学生は58.5%、成長実感について「とても実感している」「まあ実感している」と答えたのは2019年度入学生 74.9%に対して2020年度入学生は 54.7%と、大きな差が出た。

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 この差の要因の一つとして、やはりコロナ禍の影響が考えられる。「入学後の学びに関して新型コロナウイルス感染症拡大の影響で困ったことはあったか?」という問いに対して、2020年度入学生の多くが入学直後のオンライン授業への対応の難しさを挙げた。「他の学生の様子がわからないため、自分が学習から遅れているのか、講義が難しいのかわからず不安になった」「課題でつまずいたとき相談できる相手がいなくて苦労した」「求められているものがわからなかった」といった回答が見られた。高大接続期の導入教育を十分に受けることができず、対面で教員や友人と接する機会も少なかったことなどから、何をどれくらいやればよいのかがわからず学びの充実感や成長実感が得られない、実感するための基準も持ちにくかったと言えそうだ。
 今回紹介した調査結果から、入学直後の学生が大学の学びを「思い描いたものと違う」と受け止めていること、大学での学び方で戸惑いやつまずきを感じ、コロナ禍によってその感じ方がより強くなっていたことなどがうかがえる。これらはいずれも、入学前や初年次における導入教育の重要性を示している。各大学はコロナ禍における新入生の指導・支援にさまざまな工夫をしてきたが、例年と比較するときめ細かい導入教育ができなかったという声も聞かれる。「高校生」から「大学生」への移行期に、いかに丁寧な導入教育を行うか、取り組みを見直す機会にもなりそうだ。
 調査ではこのほかに、初年次の学びの充実度別に見た「戸惑い・つまずき」の傾向の比較なども行っている。
 次回は、調査結果から新入生が大学の学習支援に期待していることを紹介する。