2020.0203

データネット2020 私大センター利用方式志望者数は対前年指数94

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3行でわかるこの記事のポイント

●センター試験出願者数の8割近いデータを集計
●私大の理学、農・水産学系統で志望者が増加
●予想平均点の大幅ダウン、次年度の入試制度変更などで"超"安全志向に

ベネッセコーポレーションと駿台予備学校が提供する大学入試センター試験自己採点集計「データネット2020」は集計結果の概況、得点状況、志望動向、志望者度数分布などを発表している。私立大学のセンター利用方式の志望者数は対前年指数94で、安全志向による出願校数の絞り込みがうかがえる。

*図表はいずれも「データネット2020」より
*「データネット2020」の全体概況はこちら


●センターが「得点調整なし」を発表

 データネットの集計数は43万6512人でセンター試験出願者数に対する集計率は78.3%。集計数を文理別に見ると「5教科8科目文系」が9万9031人、「5教科7科目理系」が15万3910人となっている。
 集計に基づく5教科900点満点の予想平均点は、文系が548点(得点率約61%、前年差-22点)、理系は559点(得点率約62%、前年差-17点)といずれも大幅に下降。これに加えて次年度から新たな入試制度に変わること、入学定員管理厳格化による合格者の絞り込みなどの要因もあって受験生の安全志向は極めて強く、手堅い出願になると予想される。
 平均点を科目別に見ると地理B、物理などがアップし、数学Ⅰ・A、英語(筆記)などがダウンした。大学入試センターは得点調整を行わないと発表した。

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●私大は語学、法学、国際関係学の各系統で志望者が減少

 データネットの集計によると、国公立大学の志望者数は対前年指数94と減少。学部系統別の志望者数を前年と比べると、文系は社会学系統で増加する一方、語学、法学、国際関係学などの各系統で減少している。理系では医学、薬学、農・水産学などの各系統で志望者数の減少が見られる。

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 センター試験を利用する私立大学は前年度から2校増えて533大学。志望者数の対前年指数は94に下がった。学部系統別の志望者数を前年と比べると、文系では法学、社会学、国際関係学などの各系統で減少。理系では保健衛生学、理学、農・水産学などの各系統で増加している。
 文系、理系ともに予想平均点が大きく下がったうえに、次年度からは大学入学共通テストに切り替わることから受験生の間で「絶対に浪人できない」という意識が働き、「"超"安全志向」になっていると推測される。入学定員管理厳格化の下で私立大学が合格者を絞り込んでいることも影響していそうだ。

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 進研アド・進路データベースマーケティング部の仁科佑一グループリーダーは「受験生がチャレンジを避ける動きによって例年、比較的競争が緩やかだった私立大学でも軒並み志望者が増加している。ただし、センター試験実施後に出願を締め切る大学も多く、今回の判定を見て出願を控える動きが起きてデータネットの動向ほどは集まらないだろう」と指摘。「複合的な要因で例年以上に安全志向が強く、年内入試で合格を手にした受験生も多いことから志願者総数はデータネットの動向からさらに減少すると予想される。今回の入試は、大学が重視するものが志願者の『数』から『質』へと変わる節目になるかもしれない」と話す。