2020.0122

更新版 データネット2020 センター予想平均点は文系-22点、理系-17点

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3行でわかるこの記事のポイント

●数IAが難化、予想平均点は8点ダウン
●「現行入試最後+平均点ダウン」で安全志向、地元私大の人気が高まりそう
●国公立大への固めの出願が併願先私立大の歩留まりに影響か

*本記事は「センター試験の問題分析に基づく予想平均点」をお伝えした1月20日の記事を「自己採点データに基づく予想平均点」として更新したものです。
ベネッセコーポレーションと駿台予備学校が提供する大学入試センター試験自己採点集計「データネット2020」は1月21日夜、全国の高校から回収した自己採点データに基づく予想平均点を発表した。予想平均点は文系5教科8科目(900点満点)で548点(前年に比べ-22点)、理系5教科7科目(900点満点)で559点(同-17点)といずれも下降。当初から予想されていた出願の安全志向に拍車がかかりそうだ。データネットでは予想平均点と各大学の志望動向等の情報を発信。各高校はその情報を活用しながら生徒への出願指導を行う。予想平均点の概要と合わせ、今後の高校の動きを紹介する。

*「データネット2020」の平均点情報はこちら


●既卒の志願者数は減少に転じた

 今回が最後となるセンター試験では数学I・数学Aで統計学的な問題が出されるなど、次年度から始まる大学入学共通テストを見据えた新傾向の出題もあった。
 1月21日夜時点のデータネットによる予想平均点は、数学I・数学Aは52点(前年差-8点)で大きく下がり、英語筆記は117点(-6点)に下がった。国語は120点(-2点)。他は地学の41点(-5点)を除き、ほとんどの科目で前年との差が3点以内だった。
※科目平均点の前年差は2019年度センター発表平均点(最終集計)との差を四捨五入したもの。
 センター試験の志願者数は現役が前年より2.7%減、既卒は5.9%減で、全体では3.3%減の55万7698人。入学定員管理厳格化の下での合格者数絞り込みによって前年度まで続いていた既卒志願者数の増加は終息し、本格的な受験人口減少期に入っていきそうだ。
 データネットでは20日、高校等から約44万人分の自己採点結果を回収。そのデータを基に、全体概況、平均点、各大学の志望動向や志望者度数分布等を算出、分析する。23日から全国で高校教員を対象にしたデータネット説明会を開催する一方、ウェブサイトでもこれらの情報を発信する。

●高校は平均点や志望動向の情報をもとに出願指導

 センター試験以降、出願指導に関する高校現場の動きは学校によって多少異なるが、おおよそ次のような流れになる。
 各高校はセンター試験受験者から自己採点結果を回収、科目ごとの得点と第1志望校から第6志望校までを記入したカードを集め、データネット等、各社に提出した。その一方で、自己採点の結果に一喜一憂しないよう、生徒のケア、励ましにも気を配る。目標点に達しなかった生徒に対しては2次試験で逆転も可能なことなどを伝えて励まし、一気に弱気な出願に傾かせないようにする。
 22日(水)には、各高校でデータネットから各生徒の志望校合格可能性を確認する情報のダウンロードが可能に。教員は自己採点結果から合否が特に気になる生徒についてこの情報を確認し、面談での指導の方向性を検討しておくといった使い方がなされる。
 23日(木)午後以降、全国約60会場で計5000人以上の高校教員を対象にデータネット説明会が開かれる。ここでセンター試験の結果分析、各大学の合格ライン、どの大学に多く志望者が集まっているかといった情報と合わせ、出願指導のポイントが解説される。
 各高校では同日夕方から24日(金)にかけて、進路指導担当者や3年生の担任を中心とする会議が開かれる。データネット説明会に参加した教員から情報が共有され、出願指導の方針、生徒一人ひとりに対する指導・助言内容を確認。併願先の検討などもなされる。
 この会議をふまえ、早い高校では金曜日から、個人面談や3者面談を実施。学校によっては土日に面談をするケーもある。そこで志望校の合格可能性を確認し合い、本人の考えと教員の助言をすり合わせながら出願先を決める。

●前年度、1週間でのデータネットの総PVは926万

 国公立大学の個別学力試験の出願受け付けは1月27日から2月5日まで。生徒は私立大学についても、模試データもふまえ、各大学のウェブサイトで公表される志願者速報を確認しながら出願先、併願先を決めていく。
 文系、理系とも平均点が前年より下がったため、全体的に固めの出願になると予想される。国公立大学を第一志望とする受験生が確実に合格できる大学に出願し、それが併願先の私立大学の歩留まりに影響すると予想される。私立大学は定員を充足させるため多くの追加合格を出すことになりそうだ。
 進研アド進路データベース部の仁科佑一グループリーダーは「2019年度入試の難化を受け、模試では難関私立大学を敬遠する動きが見られたが、データネットにも同様の傾向があらわれている」と指摘。「進路指導経験が長いあるベテランの高校教員は『現行課程になってからセンターの平均点が下がるのは初めて。これまでは平均点が上がって押さえに回ることが多く、得点が低く落ち込む生徒を奮起させるという経験はしばらくなかった』とコメントしている。この点からも、また、現行入試が最後ということも重なって模試動向通り難関校は敬遠され、地元私立大学の人気が高まると予想される。例年以上に二期試験、後期入試に注目が集まるのではないか」と話す。
 データネットには高校生や高校教員から多くのアクセスが集まる。前年度はセンター試験直後から1週間のユーザー数が71万7753人、ページビュー数は926万437件だった。