2018.0111

入学前教育の事例②帝京平成大学~全学で見直し、トップが受講を奨励

入学前教育・初年次教育

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3行でわかるこの記事のポイント

●受講者数の低下やアンケート結果をふまえて見直しに着手
●入学後の学びに興味を抱かせるプログラム内容を評価
●2018年度に入学する一般入試合格者も受講対象に

2020年度からの入試改革では、特に12月以前に入学手続きをした者に対して入学前教育を積極的に実施することになっている。現行入試の下でも、高大接続の観点から入学前教育に取り組む大学が増えているが、想定通りの効果が上がらず見直しを迫られるケースもある。そこで、入学前教育の実質化に取り組み、課題を解決した大学の事例を随時、紹介する。2回目は帝京平成大学のプログラム見直しについて、副学長を兼務するヒューマンケア学部の山本通子学部長に聞いた。


●合格者に宛てた書類で学長、学科長が受講を呼びかけ

 DVD教材による映像授業中心の入学前教育を外部委託の形で2008年から導入していた。早期合格者に対するリメディアルと、入学までの期間の学習習慣維持が目的だった。数年間は大きな見直しをすることなく前年踏襲の状態が続いていたが、2013年に受講者数が大幅に減少し、学長の指示で原因を探り対策を検討することになった。
 まず考えたのは、入学前教育の意義が入学予定者に十分伝わっていないのではないかという点だ。対策として、本学の入学前教育の目的と、新入生と共に学べることを楽しみにしている旨を記した学長名の文書を送付し、各学科長による受講推奨文も別途送付した。対策が功を奏し、2014年の受講者数は前年よりも100人以上、受講率は約10%増加した。

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●新たな教育プログラムを選定するためワーキンググループを設置

 次に検討したことは、現在の入学前教育プログラムが、大学入学後の学修に役立っているかという点だ。2014年度入学生を対象にしたアンケート調査の結果、「入学後の役に立っていない」「受講科目と大学での講義内容が関連していない」という意見がかなりあり、1回90分のDVD教材に最後まで取り組めた学生は半数程度だったことが判明した。  
 そこで、教育プログラム自体を検討するワーキンググループ(WG)を立ち上げた。教務委員長・副委員長から指名されたWGメンバーが、複数の委託先候補について、教材の特徴や費用を分析した比較表を作成し、全学に提示した。各学科が教材を選択し、最終的に学長が承認する形は従来通りである。2015年では19学科のうち16学科が、2016年からは全学科で新たな委託先の入学前教育プログラムを導入している。2014年と比較し、2016年の受講率は20%ほど上昇した。

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 WGが新規委託先のプログラムを評価したのは、入学後の学びに興味を抱かせる内容であること、学問系統ごとに異なる教材が用意されていること、必要に応じて科目別のリメディアル教材を組み合わせられることなどだ。
 学長のメッセージを伝える文書と学科長からの受講推奨文送付は継続している。受講機会を全員に与えたいとの思いから、2017年度に実施する入試からは一般入試による入学者にも範囲を広げた。今後も入学前教育は、ノウハウをもつ委託業者の教育プログラムを活用し、そのうえで学部・学科の特性に合わせた、より細かいフォローを加えていきたいと思う。

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*進研アドは、高校までの学びから大学での学びへの転換を重視した入学前教育プログラムを提供しています。ポイントのご紹介はこちら