2024.0117

共通テスト予想平均点は文・理ともほぼ前年並み、国公立には強気で出願か

学生募集・高大接続

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3行でわかるこの記事のポイント

●ベネッセと駿台予備校が約38万人の自己採点結果に基づき算出
●例年に比べ、前年の平均点との差が小さい科目が目立つ
●出願計画を見直す受験生は「今から出願できる入試」に注目
 

11314の両日、4回目となる大学入学共通テストが実施された。ベネッセコーポレーションと駿台予備学校が提供する同テスト自己採点集計「データネット2024」は16日夜、全国の高校から回収した自己採点データに基づく予想平均点を発表。予想平均点は、文系5教科8科目(900点満点)が536点(前年から+4点)、理系5教科7科目(900点満点)が559点(+8点)と、いずれも前年をやや上回った。前年からの変動幅が小さいため、国公立大学への出願は安全志向ではなく強気でチャレンジする傾向になりそう。一方、私立大学の受験校は絞り込むことが予想される。データネットでは今後、予想平均点と志望動向等の情報を発信。各高校はその情報を活用しながら出願指導を行う。

 *「データネット2024」の平均点情報はこちら
*記事中、平均点の前年差は2023年度センター発表平均点(最終集計)との差を四捨五入したもの。


数学、英語は前年との差が5点以内

例年に比べると、前年の平均点との差が小さい科目が目立ち、文系・理系とも5教科での平均点が前年並みとなった。

 国語の予想平均点は117点(前年から+11点)だった。
数学IA51点(-5点)、数学IIB58点(-4点)、英語(リーディング)は52点(-2点)、英語(リスニング)は67点(+5点)と、いずれも前年からの変動は5点以内に収まっている。
地理歴史、公民の各科目もほぼ同様だ。

前年との差が比較的大きいのは、生物基礎(50点満点)の31点(+6点)。前年は生物、化学と物理との間で平均点の差が大きく、得点調整がなされたが、今回は物理63点と化学549点差が最大で、得点調整はなさそうだ。前年まで2年続けて平均点が大きく下がった生物は今回、55点(+6点)だった。

これらのデータは高校から提供された約38万人分の自己採点結果を基に算出された。ベネッセはこのデータに志望動向も加味して分析。エリアごとに高校教員を対象にした説明会を開催し、分析結果をフィードバックして出願指導を支援する。

共通テストの出願者数は4%減

大学入試センターの発表によると、今回の共通テストの志願者数は491914人で、前年から2667人(4.0%)減少。現役生は前年より17339人(4.0%)少ない419534人、既卒生は前年より3422人(4.8%)少ない68220人。全体に占める現役生の割合は、前年から0.1ポイント上がって85.3%となった。現役生のうち共通テストに出願した者の割合を示す現役志願率は、前年から0.1ポイント上がって45.2%

受験校絞り込みにおいてカギになるのは高校教員と保護者

受験生の出願動向に詳しい進研アドの中村浩二主席研究員は「今回は過去2回のような大きな平均点の変動がないため、当初の出願プラン通りに動く受験生が比較的多いのではないか」と予想。「新課程入試に変わる前年だが、模試段階では安全志向の高まりは見られず、国公立大学への出願は模試と同様、挑戦志向になりそう」と分析する。

 こうした傾向は私立大学の入試にどう影響するだろうか。中村研究員は「共通テストで想定以上に得点できた受験生は、私立大学に出願していても安全校を中心に実際の受験を絞り込むことが考えられる。大学が受験者を確保するには、受験生本人というより高校教員や保護者への一押しが必要だろう」と見る。「その一方で、実力を十分に発揮できず、当初の出願プランを急いで見直す受験生にとっては『今から出願できる入試』の情報はとても貴重だ」として、入試終盤の募集広報戦略の重要性を指摘する。