2023.1016

国公立大学2024年度入試の総合・学校推薦の募集人員は全体の23%

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3行でわかるこの記事のポイント

●全募集人員は国公立合わせて717人増の12万8899人
●一般選抜の募集人員を減らして年内入試に移す傾向が進む
●理工系での女子枠設定など、多様性確保の選抜も集計

文部科学省はこのほど、2024年度国公立大学入学者選抜の概要を発表した。各大学が20237月末までに公表した入学者選抜要項を基に集計している。国立、公立とも、一般選抜の募集人員を減らして年内入試に移す動きがさらに進んだ。多様性確保(理工系分野における女子枠等)の選抜も集計され、学校推薦型選抜では国立・公立合わせて112大学、総合型選抜では24大学で実施されることがわかった。

*文科省の発表資料はこちら
*表・グラフは文科省の資料から引用


●一般選抜の募集人員の割合は国立が80%、公立が68%

大学院大学を除く国立大学82校の募集人員は9万5241人、公立大学97校の募集人員は3万3658人。国公立合わせて12万8899人で、2023年度より717人増えた。

主な入試方式ごとの内訳を見ると、国立大学は一般選抜7万5938人(募集人員の79.7%)、総合型選抜6578人(6.9%)、学校推薦型選抜1万2498人(13.1%)。公立大学は一般選抜2万2927人(68.1%)、総合型選抜1342人(4.0%)、学校推薦型選抜9253人(27.5%)。国公立いずれも、これら3つの入試方式以外に帰国生徒選抜などがある。

●国立、公立とも前期、後期の募集人員の割合を漸減

総合型選抜と学校推薦型選抜の募集人員の合計が全募集人員に占める割合は、国立大学が2022年度からの2年間で0.8ポイント、公立大学は1.3ポイント、それぞれ上昇した。国公立合わせた総合型選抜と学校推薦型選抜の募集人員合計の割合は23.0%で、前年から0.5ポイント上昇した。

国立大学で2024年度に総合型選抜、学校推薦型選抜を実施する大学の数は前年と同じだが、学部単位で見ると総合型選抜の実施が3学部増え、学校推薦型選抜は1学部減る。この2年間で見ると、一般選抜の前期、後期両日程の募集人員の割合を徐々に下げ、年内入試の新規導入や拡大に振り向ける傾向にある。

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公立大学で2024年度に総合型選抜、学校推薦型選抜を実施する大学の数はそれぞれ1校増える。学部単位では、総合型選抜が3学部、学校推薦型選抜が8学部増える。この2年間で見ると、一般選抜の前期日程と後期日程の募集人員の割合を徐々に減らし、年内入試にシフトする傾向がうかがえる。

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●東京工業大学、名古屋大学工学部などが女子枠を設定

今回の集計では、「多様な背景を持った者を対象とする選抜」の実施についても集計された。理工系分野における女子枠の設定など、性別や家庭環境、居住地域、国籍等の多様性を確保するために実施する入試が対象。一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜それぞれについて実施状況をまとめていて、学校推薦型選抜で実施する大学が多い。

一般選抜では国立大学10大学10学部、公立大学4大学4学部、総合型選抜では国立大学16大学29学部、公立大学8大学16学部、学校推薦型選抜では国立大学40大学52学部、公立大学72大学146学部で、それぞれ「多様な背景を持った者を対象とする選抜」を実施する。

女子枠設定のほとんどは工学系だ。
東京工業大学は2024度入試から、総合型選抜と学校推薦型選抜で女子枠を導入する。初年度は物質理工学院、情報理工学院、環境・社会理工学院が総合型選抜で、生命理工学院が学校推薦型選抜で計58人の女子枠を設定。続く2025年度入試では理学院、工学院も加わり計85人の枠を設ける。これにより、全募集人員の約14%にあたる計143人が女子枠になる。同大学が推進するダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの一環で、これらの女子枠と一般選抜などでの合格者を合わせ、女子の比率は2022年5月現在の13% から20%超に増える見込みだという。

名古屋大学工学部は2023年度入試から、学校推薦型選抜で女子枠を設けている。電気電子情報工学科の募集人員12人、エネルギー理工学科の募集人員6人についてそれぞれ半数を女子枠としている。