2018.0627

ベネッセ入試結果調査② 定員管理厳格化による絞り込み・難化が拡大

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3行でわかるこの記事のポイント

●センター方式、中堅大学でも合格者の絞り込みが明瞭に
●主要大学の多くの学部で難易度が上昇
●次年度入試でもセンター利用や推薦・AOの出願が増える見通し

ベネッセコーポレーションの調査に基づく2018年度入試結果シリーズの2回目は、私立大学の入学定員管理厳格化の影響を取り上げる。定員超過率を一定限度内に抑えるための合格者の絞り込みがセンター試験利用入試にも拡大し、中堅大学群でも絞り込みの傾向が顕著だった。この傾向が続くと予想される次年度入試に向け、高校ではどのような進路指導がなされるのだろうか。

*各データはベネッセの分類・集計によるもので、各大学が公表している数値とは異なる場合がある。
*大学の公表数値を基にしたデータは5月中旬までにベネッセが収集・確認できた情報を基にしている。
*ベネッセ入試結果調査①はこちら


●センター方式は志願者増・合格者絞り込みが顕著

 2018年度入試における私立大学の志願者数(一般方式とセンター利用方式の合計)は対前年指数107と増加、合格者数は96と減少した。志願者増と合格者の絞り込みが同時に進む状況が続いている。
 一般方式とセンター方式に分けた3年間の募集人員、志願者数、合格者数の推移は下図の通り。志願者数は募集人員増を大きく上回るペースで増えている。センター方式は前年度からの志願者数の伸びが大きい一方、前年度は見られなかった合格者の絞り込みが顕著だった。

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 入学定員管理厳格化による入試の難化で受験生が併願校を増やし、大学は合格者を絞り込むため実質倍率が上がり、難化の印象がさらに強くなるというサイクルができている。
 下図で2016年度を100とした大学群ごとの合格者数の指数を見ると、2017年度は前年並みだった日東駒専でも2018年度は91に絞り込まれた。2017年度は104に増えた産近甲龍で2018年度は95まで絞り込まれ、私立大学の中で入試の難化が広がっている状況がわかる。

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●法政大学の合格者数は4000人近い減少

 一般方式とセンター方式を合わせた志願者数と合格者数の推移を主な大学群について見ていく。

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 グラフに示した9大学の合格者数は合わせて1万人以上減り、中でも法政大学は4000人近い減少幅となった。
 早稲田大学の志願者数は対前年指数102で前年並み、合格者数は91だった。上智大学は志願者数106、合格者数84で、2017年度入試で合格者を増やした反動もあると推測される。慶應義塾大学の志願者数は97とやや減少した。
 MARCHの中では立教大学と中央大学の志願者増が目立つ。指数119の中央大学は2017年度入試で減少した揺り戻し、理工学部などでの新たな併願割引制度導入なども影響していると考えられる。明治大学は入学定員の約15%にあたる1030人の定員増の一方、合格者数は93に絞り込んだ。
 入試方式ごとに見ると、センター方式では東京理科大学以外で合格者数が減少し、明治大学と法政大学の減少幅が大きかった。

●関西学院大学の合格者数は2年間で3割近く減少

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 関西では関関同立4大学合わせた志願者数が対前年指数104でやや増加、合格者数はいずれの大学でも減少して合計の指数が89だった。志願者数の伸びが109と大きかった関西大学は、英語外部検定試験利用方式の新規導入や科目数減なども影響したと考えられる。関西学院大学の対前年指数は志願者数98、合格者数80と合格者の絞り込みが特に顕著で、2016年度を100とした時の2018年度合格者数の指数は72となる。 

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 日東駒専等の大学群について示した上のグラフでは9大学とも志願者数が増え、東洋大学は2016年度から3万人以上の増となった。合格者数の絞り込みも東洋大学で特に目立つ。
 入試方式ごとに見ると、日本大学は入学定員増の影響もあって一般方式で唯一、合格者数が増えたが、センター方式では減少。国士舘大学のセンター方式合格者数は2016年度から半減した。

 志願者増と合格者の絞り込みによって、多くの学部で難易度が上昇した。法政大学の法学部を例にとると、進研模試記述回で偏差値65~69だった受験生の合格率は、2016年度入試60%、2017年度入試52%、2018年度入試43%と難化が進んでいる。他大学でも、出願の目安となる「合格率が40%を超える偏差値」が2016年度<2017度<2018年度と年々、上昇している学部が目立つ。

●次年度入試では成績上位層が併願校を増やす見通し

 入試の難化傾向は次年度も続きそうだ。2018年度の高校3年生が2年生1月に受けた進研模試では、成績上位層で私立大学の志望者数が増えた。志望者数全体の対前年指数98に対し、偏差値70以上の志望者数の指数は早慶上智に東京理科大学を加えた4大学で114、MARCHで132、関関同立で136となっている。これに次ぐ偏差値65~69の志願者数もMARCH、関関同立で増加した。
 どちらの偏差値帯も国公立大学の指数は前年並みで、入学定員管理厳格化による私立大学入試の難化、後期日程の廃止・縮小が続く国立大学の敬遠などにより、私立大学の併願を増やす動きがさらに進む見通しだ。
 ベネッセコーポレーション初等中等教育事業本部教育情報センターの渡邉慧信センター長は、2019年度入試に向けた高校の進路指導について「都市部の私立大学の難易度が上がる中、①5教科を粘り強く学習することによって国公立大学志望をキープさせる指導、②センター利用方式による出願の複線化、③AO・推薦入試も視野に入れた検討などがさらに進みそう。学びたい学問を軸に、難易度の幅を広げながら大学調べをする指導がなされるだろう」と予想する。  
 一方の大学側は、学びたい学問を軸にした志望校選びの場面で、従来の志望者層はもちろん、学力上位層にも確実に想起されるための募集広報を展開する必要があるだろう。


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