2018.0622

国大協が英語外部検定の加点比重「2割以上」など、活用の参考例を提示

この記事をシェア

  • クリップボードにコピーしました

3行でわかるこの記事のポイント

●出願資格はCEFRの「A2以上」を例示
●CEFRを大学独自に細分化する方式にも言及
●高校現場は外部検定対策の指導強化の見通し

国立大学協会はこのほど開いた総会で、2021年度入試からの大学入学共通テストにおける英語外部検定試験活用の参考例を示した。外部検定を加点方式で活用する場合、配点は英語全体の「2割以上」にすることなどを例示。受験生にとって軽視できない比重と言え、目標スコア到達に向けて高校による指導等の対応強化が進みそうだ。

*国大協の公表資料はこちら


●拘束力はないが各国立大学の判断に対する影響力は大きい

 国立大学協会の総会で示された「大学入学共通テストの枠組みにおける英語認定試験及び記述式問題(国語)の活用に当たっての参考例等について」では、以下のような内容が例示された。

1.英語外部検定試験
 ① 出願資格とする場合
  CEFRの「A2以上」を出願資格とすることを例示。
 ② 加点方式とする場合
 ・加点する点数をCEFRの段階ごとに決め、共通テストの英語の試験と合わせた全体に占める外部検定の最高点の加点比重を「2割以上」とすることを例示。
 ・スコアに応じてCEFRを細分化した段階ごとに加点の点数を決めることも考えられる。
 ③ 出願資格と加点方式を併用する場合
 ・出願資格をCEFRの「A2以上」とすることを例示。それを超える段階ごとに加点する点数を決める。

2.国語の記述式問題
 センターが示す、小問に応じて重み付けした5段階の「総合評価」の段階ごとに加点する点数を決める。その比重はマークシート式と合わせた国語全体の「2割程度」にする。

 これらはあくまで参考例であり、具体的には大学や学部ごとに主体的に判断すべきとされている。拘束力はないものの、各国立大学の判断に影響を及ぼすことは必至だ。

●4技能学習のインセンティブを与える観点から「2割以上」に

 国大協は3月に出した外部検定等の活用のガイドラインにおいて、「2023年度までは共通テストの英語の試験と外部検定の両方を課す」「全ての認定試験を活用対象とする」「出願資格と加点方式のいずれか、または両者を組み合わせて活用する」といった方式を打ち出した。今回はこれらの具体化の例を示した。
 ガイドラインでは、受験生が外部検定の成績だけで受験機会を失うことになるような高い出願資格を設けるべきではないとの考え方を提起した。それに基づき今回は、CEFRの6段階中、下から2番目の「A2」を出願資格とすることを例示。
 加点方式については、英語4技能の総合的な評価を重視するという入試改革の趣旨をふまえ、高校生に4技能学習のインセンティブを与える観点から、適切な比重を「2割以上」と例示。さらに、すでに外部検定を入試で活用し、スコアの換算についてノウハウがある大学についてはCEFRをより細分化した段階ごとの加点を行うことも選択肢とした。
 出願資格と加点方式の併用については「A2以上」を出願資格とし、それを上回るレベルについては「B1」「B2」「C1以上」など、段階に応じて加点する方式を例示している。
 ベネッセコーポレーションによると現状、国立大学受験者でGTECのスコアを保持する生徒のうち約6%がA2に達していない。そのため、高校現場は出願や合否判定における外部検定の影響を軽視できず、目標レベル到達に向けた対応に力を入れると予想される。
 国語の記述式についてはガイドラインで、段階別評価を点数化して加点する方式が示された。センターが小問ごとの段階別評価に加え、小問に応じた重み付けをした5段階の「総合評価」も示す方針を示していることを受け、国大協は「総合評価」の段階ごとに加点する点数を決め、国語全体に占める比重を「2割程度」とすることを例示した。
 国大協の今回の参考例は、国立大学のみならず公立・私立大学の判断にも一定の影響を及ぼしそうだ。外部検定対策で過度な負担がかからないようにするなど、受験生へのネガティブな影響を十分考慮した入試の設計が各大学に求められる。


*関連記事はこちら

ベネッセ入試結果調査① 志願者数は国立で緩やかに減り、私立で増加
早稲田大学が2021年度入試で主体性等に関する情報を出願要件に
私大の23%が一般入試、センター利用入試に英語外部検定を導入
英語検定の受検期間の例外対応案めぐり議論-新共通テスト有識者会議