2017.1211

ここが知りたい!新入試~文科省に聞く② 推薦入試での知識・技能評価

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3行でわかるこの記事のポイント

●学校推薦型選抜等での教科テストは2月1日以降に実施
●高校教育への配慮に基づく判断が求められる
●私立大学からは「事実上、困難」との声も

新入試制度をめぐって大学から挙がっている疑問点について、文部科学省の見解を交えて解説するシリーズの2回目は、総合型選抜と学校推薦型選抜における教科・科目テストの実施について取り上げる。

*「ここが知りたい!新入試 ①」はこちら
*2017年7月に発表された「大学入学共通テスト実施方針」、および「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」はこちら


●「学習指導要領に準拠した学力検査は2月1日以降に」

3.学校推薦型選抜における教科・科目試験の実施時期
 前回は「全ての入試方式で学力の3要素を評価する」という原則の下、一般選抜における調査書の活用等について解説した。
 一方の総合型選抜と学校推薦型選抜では、従来の試験内容に加えて知識・技能と思考力・判断力・表現力も適切に評価するよう求められている。具体的な方法として、小論文やプレゼンテーション、口頭試問、実技、教科・科目テスト、資格・検定試験の成績等、および大学入学共通テストが例示されているが、このうち教科・科目テストを実施する場合は2月1日以降でなければならないという。
 「基礎学力を評定平均値より丁寧に確認するという趣旨で、特別な対策を必要としない易しいテスト」(ある私立大学の入試担当者)を11月に実施する方向で検討している例もあるが、「高校の学習指導要領に準拠した学力検査については現行通り、高校教育の正常な発展の障害とならないよう2月1日以降に実施する」というのが文科省の見解だ。
 しかし、さまざまな入試方式を組み合わせて定員の大きな過不足が出ないよう調整を図る私立大学にとって、推薦入試は一般入試の前に一定数の入学者を確保できる点が特に重視されている。「2月1日ルール」について、私立大学の入試担当者からは「私立の場合、『一般入試と同時期に実施』という縛りがかかるのであれば、推薦入試で知識・技能を教科・科目テストで評価するという選択肢は事実上なくなる」といった疑問の声が多く聞かれる。

●現行AO入試において小論文で知識・技能を評価する私大も

 文科省は「入試のさまざまなルールは、公正かつ妥当な方法であること、高校の授業に悪影響を及ぼさないことなどを目的に当事者である高校と大学の関係者が話し合い、文科省はその結果を大学入学者選抜実施要項として通知をしている。入試の実施主体である各大学の良識と主体的な判断の下、高校の授業の妨げにならないやり方を考えてほしい」と話す。学校推薦型選抜等での知識・技能の評価手法や時期については、各大学が「高校の授業の妨げにはなっていない」「高校の理解が得られる内容で実施している」と説明できるかどうかが問われると言えそうだ。
 総合型選抜と学校推薦型選抜で知識・技能と思考力・判断力・表現力を評価するために2月1日より前に実施可能なものとして、小論文やプレゼンテーションなども示されている。現行のAO入試にこれらを取り入れている例として鎌倉女子大学の「AO入試(高大接続重視型)」などがある。
 なお、指定校推薦に関する情報公表の度合いは大学によってさまざまだが、文科省は「推薦入試については実施要項に記載されている通り募集人員を明記してほしい」との考えだ。


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