2017.0327

私大経営支援事業に見る地方中小規模大学の改革状況-留学生確保が課題

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3行でわかるこの記事のポイント

●収容定員充足率50%~80%が対象のタイプBは依然、申請が低調
●「地域における入学志願動向調査の実施」は高配点の重点項目
●評価項目には「オープンキャンパス参加者の増加」も

先ごろ選定結果が発表された「私立大学等経営強化集中支援事業」の評価項目ごとの全体的な達成状況から、地方中小規模大学の改革状況がうかがえる。118の選定校のうち、留学生の受け入れ数が増加しているのは3割にも満たず、より積極的な取り組みが期待されている。

事業概要、選定校の一覧等はこちらhttp://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/__icsFiles/afieldfile/2017/03/07/1367019_01.pdf
文科省公表の各種資料はこちら
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/1367019.htm


●タイプBの選定校数は当初目安の6割前後にとどまる

 私立大学等経営強化集中支援事業は、地方中小規模私立大学等に対する経営改革支援を目的に、2015年度にスタートした。三大都市圏以外に所在する収容定員2000人以下の大学、短大、高専が対象で、収容定員充足率80%~107%の「タイプA(経営強化型)」と同50%~80%の「タイプB(経営改善型)」がある。平均配分額はAが3000万円でBが3500万円。申請時には、経営改革の取り組みとして示される各評価項目について自己評価し、総合得点に基づいて選定され私立大学等経常費補助金が傾斜配分される。
 2016年度は予算額45億円で、タイプA、B合わせて118校が選定された。当初の選定校数の目安はタイプAが60~70校、タイプBが70~80校の計150校程度だったが、タイプBは対象校90のうち申請したのが49校(大学29、短大20、高専0)で、選定されたのは46校(大学28、短大18、選定率94%)と、目安の数を大きく下回った。


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  この事業については、検討段階から大学の間で「申請すれば自学の経営状態が良くないと宣言することになる」との声もあり、初年度は両タイプとも申請校数が文科省の想定よりかなり少なかった。風評に関する懸念に配慮してタイプの区分を明示せずに選定校を公表したこともあり、2年目となる今回はAタイプの申請は18%増の113校(大学58、短大54、高専1)となり、目安通りの72校(大学42、短大30、高専0)が選定された。
 文科省の担当者は「選定校のみならず、多くの大学に評価項目に沿った取り組みを進めてもらい、地方に高度な大学機能を集積することがこの事業のねらい。改革の波及効果を高めるうえで、タイプBにもより多くの大学が申請してほしい」と話す。評価項目については、申請した大学からも「常勤監事の配置は地方の小規模大学にとってハードルが高すぎ、現実的ではない」といった指摘が聞かれる。文科省は、こうした声もふまえて各評価項目の妥当性や全体的な比重について今後、検討する方向だ。

●タイプB選定校の半数超でオープンキャンパス参加者が5%以上増加

 取り組みの評価項目は、「経営状況の把握・分析」「組織運営体制の強化」「学生募集・組織改編」「中長期計画の策定等」「人事政策・経費節減等」「他大学等との連携」「地域・産業界との連携等」のカテゴリで構成。タイプBについては、法人合併、大学統合等を機関決定する場合は別枠で加点される。
 タイプBの選定校について学生募集に関する自己評価結果を見ると、取り組みが最も遅れているのは留学生の受け入れで、「留学生が学校全体で5%以上増加」は26%にとどまり、「5%未満だが増加」も2%だった。全ての大学にグローバル化への対応が求められる中、地方中小規模大学にとっては学生募集の観点からも留学生確保が重要課題となっている。
 「オープンキャンパス参加者が学校全体で5%以上増加」は選定校の54%、「5%未満だが増加」は15%だった。定員確保という最終的な結果だけではなく、そこに至るプロセスでいかに受験生を引き付けるか、学生募集広報の努力が問われている。
 「地域における入学志願動向調査の実施」は、重点項目として配点が高くなっている。大学のある都道府県や市区町村等、地域を特定してどの程度の入学希望者がいるか把握することが、確実な学生確保、経営強化につながるという考え方だ。
 全カテゴリーの中で最も実施率が低いのは「他大学との人事交流」で、協定に基づいて「教員および職員の人事交流を実施」は選定校の2%しかなかった。