2016.0125

関東学院大学

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図書館職員が企画する各種イベントで学内のコミュニケーションが活性化

帰属意識と学ぶ意欲の向上を図る

 関東学院大学の図書館は、ユニークなイベントの企画、実施を通して学生、教職員のコミュニケーションを活性化している。「本」「読書」を主な切り口に、さまざまなタイプの学生を巻き込めるよう、次々と企画を考え、大学に対する帰属意識と学ぶ意欲の向上を図っている。

 イベントの企画を担当しているのは主に、図書館運営課の間部(まなべ)志保課長をはじめとする4人の女性職員。それぞれが学内ネットワークも生かし、企画ごとにさまざまな教職員の協力を得ながら学生を巻き込む。同課長は「図書館の機能をより深く理解してもらい、最大限に活用してほしい。単に、機能を言葉で説明したり、『利用して』と呼びかけたりするだけでは学生を引き付けられないので、イベントを通して、図書館が提供する多様なサービスの魅力を楽しく伝えたい」と話す。

 蔵書の中のお薦めの本を教員が書店風の手書きポップで紹介する「私の一冊」や、学生・教職員による「ポップコンテスト」は、2015年度で3回目を数える。館内入り口に本とポップカードをセットで展示。規矩(きく)大義学長も、芥川龍之介の『鼻』についてポップを書いた。紹介された本を読んだ学生の読後カードも募り、並べて展示している。本について学生と教員、学生同士が会話する光景が見られ、「初めて、自分の学部以外の先生と話した」(学生)、「学生と専門書以外の本について語り合うことはこれまであまりなく、とても新鮮」(教員)といった声が聞かれる。

 2015年度は、各学部の教員が新入生に対し、専門分野の入門書を推薦する「まなびはじめコーナー」も新設した。

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企画・運営に学生の力も活用

 図書館の職員による企画は、本に関するもの以外にも広がっている。2014年度には、図書館の一角に関東学院の歴史を振り返る「学院史コーナー」を新設。1884年の横浜バプテスト神学校創設以来、学院の発展に関わってきた宣教師や教員らの写真、著作などを展示している。

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 2015年6月、同コーナーと連動させ、モニュメントなど、キャンパス内の学院史ゆかりのポイントを巡るオリエンテーリングも開催した。ミッションカードを手に、クイズの答えを探しにいくというイベントだ。学生からは「多くの人々が理想や信念を持ってこの学校を作り上げてきたことを知った。授業や単位のことだけ考えるのではなく、このような歴史を知ることはとても大切だと思う」(経済学部1年生)といった感想が寄せられた。担当する授業で特典を設けて学生の参加を促した小山嚴也副学長は、「自分に自信を持てずに入学してくる学生もいる中、偉大な先達が築いた伝統ある大学で学んでいることに誇りを持ってほしい」と話す。

 図書館内、お薦め本の展示コーナーや学院史コーナーの近くには、学生の居場所、交流スペースとしても機能するラーニングコモンズ「ブラリ」を設置。学長お薦めの一冊や、大学の歴史に関する意外なエピソードについて学生同士の会話がはずむ様子が見られるようになったという。

 他にも、川柳コンテストや大学祭でのビブリオバトルなどを実施。これらのイベントに応募、参加した学生は、購買部で利用可能な文具専用買い物券と交換できる図書館ポイントカードにスタンプがもらえる。「ブラリ」の名称を学生からの公募で決める、ビブリオバトルの企画・運営に学生を加えてポスターや記念グッズの制作を任せるなど、学生の力も積極的に借りている。

 初年次教育の授業で「図書館利用者増のための施策」という課題を出したり、教員やキャリアセンターと連携して就活支援セミナーを企画したりと、図書館のスタッフは正課内外での学生支援にも積極的に関わる。

 図書館職員の杉山友美氏は「さまざまなイベントを通して、以前とは比較にならないくらい学生と接する機会が増え、『最近の学生は本を読まない』という見方が一面的なものにすぎないことがよくわかった。問われているのは私たちの柔軟な発想。学生をうまく図書館に誘いつつ、学生生活を実りあるものにしてもらえるよう、アイデアを練るのがとても楽しい」と話す。

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