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中部国際空港と産学連携協定を締結

中部国際空港でのアンケート調査実習の様子

学校法人日本福祉大学は2015年12月7日、中部国際空港株式会社と産学連携に関する協定を結んだ。2005年の開港以来、学部や教員が個別に同空港と連携を深めてきたが、今後は法人と企業による組織的な連携を進め、学生の教育や就業体験、空港の従業員の研修などを通して地域社会への貢献、大学の魅力づくりとその発信を行いたい考えだ。中部国際空港が大学と組織的な協定を結ぶのは初めてだという。


●多くの業態・サービスが集う空港を教育に生かす

 日本福祉大学は、「グローバル人材を育成するためのサテライトキャンパスとして今回の協定を活用したい」(丸山悟理事長)と考え、外国人旅行客が多く利用する中部国際空港を、グローバルな視点を持つリーダー層の育成や学んだ語学を実践する場として生かそうとしている。一方、中部国際空港の友添雅直社長は、「空港は飛行機の離着陸のみならず、小売、ホテル、ITシステムの運用など、さまざまな業態、サービスが集まる場。大学の実践的な教育に活用してもらいたい」と述べており、幅広い内容での連携が予想される。また、大学としては、空港従業員が業務上必要な知識、教養を学ぶリカレント教育に協力したい意向だ。

●就業体験やアンケート調査の実習などを実施

 空港と個別に連携し、すでに積極的な活動をしているのは、東海キャンパスの経済学部と国際福祉開発学部だ。距離が近いことから教育のフィールドとしての活用に加え、アルバイトに通う学生も多く、日常的な接点がある。
 主な取り組みには、経済学部の正課科目「地域研究」がある。旅行者を対象とするアンケート調査を中部国際空港で行い、調査研究手法の修得、問題発見の力や課題を提起する力の育成に生かしている。また、国際福祉開発学部の正課科目「国際協働インターンシップ」では、ホテルのフロント業務体験を実践的な語学力、ビジネスマナーの習得に生かしている。

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●さまざまな連携によって地域の魅力づくりに貢献

 日本福祉大学は2014年度、「地(知)の拠点整備事業」に選定された。半田市、東海市、知多信用金庫、藤田保健衛生大学などと連携協定を結び、地域社会の発展、地域の課題解決に貢献できる人材の育成に取り組んでいる。丸山理事長は2015年度の同大学の戦略のポイントは、徹底した差別化と連携の実現にあると述べており、今回の連携協定締結もその一環と言える。今後は、空港内にサテライトキャンパスを開設し、愛知県内全ての4年制大学の学長が参加するコンソーシアム「愛知学長懇話会」による単位互換講座を開設するなど、愛知県内の大学との連携に基づく利用も検討している。
 中部国際空港は今後、外国人観光客を中心とした国際線航空旅客の増加を見込んでいる。2014年度に同空港を利用した航空旅客者数は国際線・国内線を合わせて990万人。2019年度の目標は1500万人だという。この実現のためにも、地域での教育・研究・社会貢献活動を推進する日本福祉大学との協定を生かし、地域の魅力づくりや人材育成によって観光振興に貢献していく考えだ。