2021.0215

2021年度入試で国立大学の総合型選抜募集人員が前年から3割増

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3行でわかるこの記事のポイント

●室蘭工業大学、愛知教育大学など4校が新たに導入
●小樽商科大学の総合型選抜はギャップイヤー履修制度と連動
●学校推薦型選抜の募集人員は3%減

文部科学省はこのほど、2021年度国公立大学入学者選抜の概要を公表した。各大学が2020年7月末までに公表した入学者選抜要項に基づく集計で、「その後の状況により変動が生じる可能性がある」としている。総合型選抜による募集人員が3割の大幅増となった国立大学の概要を見ていく。
*文科省の発表資料はこちら
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●「総合型、学校推薦型等の割合30%」の目標に対し現状は19%

 大学院大学を除く82の国立大学全体の募集人員は、2020年度より67人少ない9万5097人。
総合型選抜を実施する大学は前年より4校28学部増えて63大学(全体の76.8%)250学部(全体の62.5%)。募集人員は31.9%増の6091人で、全募集人員に占める割合は4.9%から6.4%と1.5ポイント増えた。
 学校推薦型選抜は前年度と同じ76校、8学部少ない279学部で実施され、募集人員は3%減の1万1849人となった。全募集人員に占める割合は12.8%から12.5%の微減。
 総合型と学校推薦型を合わせた募集人員の割合は17.7%から18.9%に増えた。

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 国立大学協会は多様な入学者を受け入れる方針の下、第3期中期目標期間最終年の2021年度までに総合型選抜や学校推薦型選抜、国際バカロレア入試などの入学定員を30%まで拡大する目標を掲げている。文科省が推進する入試改革で学力の3要素の多面的・総合的評価が重視されていることから、改革初年度の2021年度入試では対象学部を拡大したり、学校推薦型から募集人員を移したりして、総合型を積極的に導入する動きが見られた。

●北見工業大学は共通テストを課さず基礎学力確認試験を実施

 国立大学では室蘭工業、小樽商科、北見工業、愛知教育の4大学が新たに総合型選抜導入した。
 小樽商科大学は商学部の経済学科と商学科で総合型選抜「グローカル総合入試」を導入、一般枠15人、理系枠5人の計20人を募集。いずれも指定した英語外部検定試験の一定以上のスコアを持つことなどを出願要件にしている。大学入学共通テストは課さず、一次選抜で志望理由書、学修計画書、外部検定の成績、調査書等を総合して募集人員の2倍程度に絞り、二次選抜で日本語と英語による口頭試問を課す。
 この入試の合格者から募集・選考して5人をギャップイヤー履修生としてハワイ大学カピオラニコミュニティカレッジに約8か月間、派遣。グローバルな視野と自主的な学習態度の修得をめざし、2022年4月に小樽商科大学に入学する。
 北見工業大学は工学部の地球環境工学科と地域未来デザイン工学科で総合型選抜を導入し、計21人を募集。2年次から各コースに所属するが、総合型選抜は出願時にコースを選ぶ「コース確定枠」14人、工学と経営の融合領域を扱う地域マネジメント工学コースに進む「第一次産業振興枠」3人、工学技術によって競技能力を高める「冬季スポーツ枠」4人の3つの枠を設けている。共通テストは課さず基礎学力確認試験、面接、調査書、学修計画書等を総合して選抜する。
 なお、公立大学の数は2020年度、1校増えて92校になり、募集人員は前年より340人多い3万2122人。総合型選抜を実施する大学は前年度と同じ36校だが、学部は11増えて74学部に拡大、募集人員は13.4%増えて1066人となった。学校推薦型選抜の実施は2校6学部増えて91校199学部、募集人員は3.9%増えて8462人に。両入試合わせた募集人員は前年より4.9%多い9528人で、全募集人員に占める割合は29.7%となる。