2021.0120

【1/20更新】共通テスト予想平均点は文系、理系ともほぼ前年並み

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3行でわかるこの記事のポイント

●ベネッセと駿台予備校が共同運営するデータネットが自己採点に基づいて算出
●生物、数IIBなど、平均点が大きく上昇した科目も
●志望動向と合わせた分析データを高校に還元し、出願指導を支援

*本記事は「共通テストの問題分析に基づく予想平均点」をお伝えした1月18日の記事を「自己採点データに基づく予想平均点」として更新したものです。
1月16、17日の両日、初めての大学入学共通テストが全国700近い会場で実施された。ベネッセコーポレーションと駿台予備学校が提供する同テスト自己採点集計「データネット2021」は19日夜、全国の高校から回収した自己採点データに基づく予想平均点を発表。予想平均点は、文系5教科8科目(900点満点)で551点(前年のセンター試験に比べ+3点)、理系5教科7科目(900点満点)で561点(同+2点)といずれもほぼ前年並みで、「センター試験に比べて難化」という大方の予想とは異なる結果となった。データネットでは今後、予想平均点と志望動向等の情報を発信。各高校はその情報を活用しながら生徒への出願指導を行う。
*「データネット2021」の平均点情報はこちら
※記事中、科目平均点の前年差は2020年度センター発表平均点(最終集計)との差を四捨五入したもの。
※2020年センター試験の5教科7(8)科目平均点で、英語は筆記+リスニングの合計250点満点を200点満点に圧縮して算出している。


●倫理と政治経済、生物と地学は平均点の差が20点以上

 センター試験に代わって導入された初めての共通テストは厳重なコロナ感染対策の下で実施され、受験生、会場を提供する大学の双方でかつてないほど緊張感が高まった。
 思考力・判断力・表現力を評価するという入試改革の方針の下、複数の資料を読んで解答させるなど、新傾向の出題が目立った。センター試験で60分だった数学I・数学Aの試験時間は70分に。英語では運用能力を重視する観点から、リーディングでの発音やアクセントの出題がなくなる一方、高校生にとって身近なSNSでのやりとりに基づく出題も。リスニングの重視度を上げ、リーディングとリスニングの配点比は従来の4対1から1対1に変わった。
 思考力等を問う新たな出題方式によって、センター試験に比べて難化するというのが大方の予想だったが、予想平均点は文系、理系ともほぼ前年並み。平均点が大きく上昇した科目もある。
 1月19日夜時点のデータネットによる科目ごとの平均点は、数学I・数学Aが58点(前年差+6点)、数学II・数学Bが60点(+11点)、倫理72点(+7点)、生物72点(+14点)、地学47点(+7点)などで上昇が目立つ。国語、英語はほぼ前年並みだった。
 倫理と政治経済、生物と化学で、それぞれ平均点の差が20点以上あり、得点調整がある可能性が高い。
 これらのデータは高校から提供された約41万人分の自己採点結果を基に算出された。ベネッセはこのデータに志望動向も加味して分析。21日からエリアごとに高校教員を対象にした説明会をオンラインで開催し、分析結果をフィードバックして出願指導を支援する。
 志願者数を前年のセンター試験と比べると、現役が前年より0.5%減、既卒は19.3%減で、全体では4.0%(2万2454人)減の53万5245人。前年の入試で"超安全志向"の出願傾向になったため、既卒者は大きく減った。
 今回の共通テストについては、休校で授業に遅れが出た高校への対応として1月30、31日に第2日程が組まれ、体調不良で16、17日に受験できなかった志願者もこの日程で受験できる。

●コロナ禍で年内入試合格組が共通テスト受験を控えた可能性も

 平均点が前年並みになったことについて、進研アド・データサービス開発部の仁科佑一グループリーダーは「従来、高校では年内入試で合格した生徒にもセンター試験を受験するよう指導してきた。コロナ感染への懸念が高まる中、今回はそのような指導が抑えられた可能性があり、結果として『本気で準備してきた層』の割合が高まって平均点を押し上げたのかもしれない」と推測する。2020年の入試センターのシンポジウムで示された「センター試験受験者約53万人のうち10万人はその成績を使った出願をしていない」というデータを仮説の根拠として挙げる。
 今後の出願動向については「一般選抜教科テストの2月1日以降実施の徹底が文科省から通達され、実施日を従来から後ろ倒しした大学も多い。入試日程が過密化するため受験生は本命校以外の受験を絞り込まざるを得ず、総出願件数は前年より減る可能性がある」と述べる。
 仁科グループリーダーは、模試の志望動向を大都市圏について分析した結果、3年生が7月回に書いた志望校を9月回で再び記入する割合が、前年より上昇した点に注目する。9月回から10月回にかけても同様の傾向が見られるとし、「志望校へのこだわりの強さというより、コロナ禍で大学研究が深まらず、『知っている大学が少ない』ということだったとも考えられる」と指摘。歩留まりへの影響やミスマッチのリスクに言及した。