立正大学-学内業務で企画立案力を育てる「キャリア育成奨学金」を導入
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2016.0729
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3行でわかるこの記事のポイント
●一般入試前期の合格者から選抜
●入試、キャリアサポート、図書館の3部門で企画立案業務に参画
●最大4年間の授業料全額免除に加え、報酬も
立正大学は2017年度入試から「キャリア育成奨学金」を新設する。企画立案能力の育成をめざして学内業務に参画させ、授業料を最大で4年間全額免除、業務に対する報酬も支払うという内容。一般的な学内アルバイトとは一線を画する業務内容と手厚い経済支援で、大学側が「国内初」とアピールする独自奨学金の概要とねらいを紹介する。
「キャリア育成奨学金」の最大のねらいは人材育成だ。キャリア教育を含む正課に加え、課外で職員も学生の指導に関わり、教職協働で自ら考える力や問題解決能力を鍛える教育プログラム型の奨学金制度とした。
対象者は、一般入試2月前期(2月3日)の合格者の中から選ぶ。入試センター、キャリアサポートセンター、図書館のいずれか希望の部署で、授業のない空き時間を使って業務に携わらせる。事務補助的なアルバイトではなく、企画立案・提案を担当する点が特徴だ。例えば、入試センターであれば「高校生にとって魅力的なオープンキャンパスを企画する」といったテーマが想定されるという。
対象者は、入試の成績に加え、独自に課す小論文、面接の総合評価に基づいて選考する。希望者は入試の出願時に小論文を提出してエントリー。入試合格者の中から得点上位者の小論文を審査し、50人程度を一次選出する。2月中旬に面接を行い、月内に対象者を決定、通知する。
小論文は、自らのキャリア形成についての考え、大学生活に対する意欲等をテーマとして設定する方向で検討している。小論文の審査と面接官は、入試センター、キャリアサポートセンター、図書館の職員が各センター長等の教員と共に務める予定だ。
1年次は対象者全員について、入学金を含む学費を全額免除。業務に対する報酬も、学生の平均的なアルバイト収入をふまえて支払う予定だ。4年間の継続を前提に、2年次以降は、GPAが所属学科(コース)で上位30%以内なら授業料全額免除、50%以内なら半額免除とする。
「キャリア育成奨学金」の発案者の一人・八重樫陵氏は、新卒で立正大学に入職して5年目。日本の大学入学者選抜におけるアドミッションオフィサー活用に関する研究で、2015年度の科研費の奨励研究に採択された。自学の入試改革について考える中で「社会から求められる人材像をディプロポリシー(DP)にどう落とし込むか?」「DPをいかにして入試と結びつけるか?」「教職協働による育成のしくみとは?」といった課題を検討し、それが「キャリア育成奨学金」の原案につながった。
当面は入試センターがこの制度を統括し、キャリアサポートセンター、図書館との目線合わせと情報交換、対象学生の定期的な会合開催等のフォローをする。
入試センターの室井忠彦部長は、「多くの大学には不本意入学で敗北感を抱えながら大学生活をスタートさせる学生も少なからず在籍しており、そんな学生が成功体験を積み上げて自信を持って社会に出ていけるよう、われわれも教員と一緒になって支援したい」と話す。八重樫氏は「近年はブラックバイトの問題も深刻。学生として大学での授業、勉強を第一にしつつ、学内業務の経験を通して成長してほしい」と説明する。
八重樫氏にとっては科研費の終了後も、自学はもちろん、日本の大学入学者選抜における入試専門職の活用が大きな関心事だという。キャリア育成奨学金の小論文と面接の審査で職員が選考のノウハウを蓄積し、将来的には入試専門職として入学者選抜を担えるようになりたいとの期待を抱いている。