2016.0311

三つのポリシーと認証評価の整合性とは

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3行でわかるこの記事のポイント

~中央教育審議会「大学教育部会(第43回)傍聴報告」~

2016年3月10日、大学教育部会が開かれ、三つのポリシーのガイドライン案と認証評価制度の改善案が審議された。また、別途、特別部会で検討されている「新たな高等教育機関」の審議経過報告があった。


ガイドラインはあくまで「緩く」

 法令化に向けて進んでいる三つのポリシーのガイドライン案については、これが「ガイドライン」であって、個々の大学に対して強制力を持たないという点が審議でも強調されている。今回もその観点から、細かい文章表現について、いくつか修正要請があった。
 また、ガイドライン案で三つのポリシーが同列に扱われていることに対し、ディプロマ・ポリシー(DP)をベースにカリキュラム・ポリシ-(CP)とアドミッション・ポリシー(AP)が策定されるものであることをもう少し、文言として明確に打ち出すべきだという意見が出された。
 なお、DPに関しては前回の審議の方針に則り、日本語での表現を「学位授与の方針」から「卒業認定・学位授与の方針」へと改めることも決定している。

認証評価制度と三つのポリシーの関係

 認証評価制度の改善に向けた審議では、今後の大学の質転換が三つのポリシーに基づいて行われ内部質保証の基点となるならば、認証評価でも、そことの関連・整合性をもっと明快に示すべきとの指摘があった。
 また、内部質保証、三つのポリシーに関しては今後、法令上で位置付けられることになる。この審議まとめ案でも、具体的にどんな法令に位置付けられるか明示するよう求められた。

新高等教育機関へは疑問・異論続出

 今回、最も盛り上がったのは、上記のメイン2議題ではなく、特別部会で検討されている「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化」についての報告に対してだった。特別部会の事務局から審議経過報告がされたほか、同部会で委員を務める牧野氏(株式会社ワークスアプリケーションズ代表)から「産業界が求める人材像」の説明があった。
 この特別部会の審議内容を初めて耳にする委員も多く、さまざまな疑問・異論が出された。「既存の大学の改革で対応すべき」「質保証をどうするのか」「もっと領域を具体的にしないと誰も手を上げないのではないか」「財政面が見えない」といった内容だ。特に牧野氏の「産業界で求めているのは、変化に対応できる人材」との報告には「既存の大学が育成すべき人材像と同じではないか」と多くの委員から声が挙がった。
 これに対し、特別部会でも副部会長を務める黒田副部会長から「新機関は単線化している日本の大学の在り方を変えるもの。専門学校の新しい形でも、まったく新しい学校をつくるというものでもない」との説明がされた。さらに、「新機関は国が一条校として大学体系に位置付けて質保証をし、職業教育をする。高度な職業教育を施すなかで、国際通用性を持った学位(大学と同等)を与える機関だ」とした。

 大学教育部会で出た意見は、特別部会に持ち帰られて、今後の審議の参考とされる。