2016.0401

「新たな高等教育機関」の行方 その9

学生募集・高大接続

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3行でわかるこの記事のポイント

~中央教育審議会「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会(第13回)傍聴報告~

審議経過報告と次年度の検討事項

 年度末に提出される審議経過報告について、大学教育部会と大学分科会からの指摘を踏まえ、最終確認が行われた。細かい文言の修正等はあるものの、めだった変更点はない。
 また、年度内最後の部会ということもあり、次年度の主要検討事項の確認がされた。新機関の名称、企業内実習の履修時間数や実務家教員の割合の数値化等が挙げられている。

関係団体へのヒアリングが始まる

 今回と次回の2回で、計14団体へのヒアリングが行われる。また、並行して審議経過報告に対するパブリックコメントの収集も進められる予定だ。今回は経済同友会・天羽稔会長、全国高等学校PTA連合会・佐野元彦会長、全国高等学校長協会・佐々木哲理事の3人から審議経過報告について意見が出され、委員との間で質疑が行われた。

まずは一歩踏み出すことが大切(経済同友会)

 経済同友会からは、「育成する人材像」「既存の高等教育機関との差別化」「質保証」といった点がいずれもクリアでないとの指摘があった。たとえば、実務家教員なら、教員比率を50%以上にし、30-40代の働き盛りを採用するなど、職業現場をリアルに感じられる機関であることを明示すべきとの意見が出された。
 スタートに当たっては、スモールスタートでもいいので、スピード感を持って、まずは一歩踏み出すことが大切との見解が示された。

日本社会のキャリア観に変革をもたらすインパクトを(全国高等学校PTA連合会)

 全国高等学校PTA連合会からは、高校生に多様な選択肢を示すことができるのは、非常によいことであるとの認識が示された。新機関が、子どもたちのみならず社会全体のキャリア観・職業意識を大きく変える突破口にしてほしいという考えだ。保護者から評価を受ける最大のポイントとしては「育成する人材像を明確にすること」を挙げた。また、佐野氏は、企業経営者の立場からも、インターンシップや教員派遣を通じた採用活動は企業にも大きなメリットがあるとしている。

技能・技術者の社会的地位向上へ(全国高等学校長協会)

 全国高等学校長協会からは、新機関を日本の戦後の成長を支えてきた技能・技術者の社会的地位向上につながるものとして捉え、子どもたちの進路の新しい選択肢になることへの期待が述べられた。また、中学・高校の技術系科目を再評価する風土につながるよい機会であるとしている。新機関の設置エリアは、「地方」よりも、ある程度人口が多く、子どもの将来(の仕事)を見据えた展開のできるエリア、たとえば関西なら東大阪、東京なら大田区のようなエリアが想定できるとした。


次回は4/11(月)開催。国立大学協会や日本私立大学団体連合会、高等専門学校連合会など、既存の高等教育機関の関連団体を中心に10団体へのヒアリングが行われる予定だ。
※残りの1団体は書面での意見提出。