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「新たな高等教育機関」の行方 その6
~中央教育審議会「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会(第10回)傍聴報告~

●中教審総会では財政措置についても言及
今回の特別部会では、冒頭、中教審総会での新機関に対する意見が共有された。
特別部会でも再三話題になる「既存の大学より下に見られないようにすること」が総会でも要望として出されている。また、産業界との連携、質保証に関して「スピード感を持って対応できる体制の構築」を求める旨の発言があったという。このあたりは、既存の大学でのスピード感のなさが背景にあるだろう。さらに新機関の設置に当たり、制度化が進む一方で、財源などの財政措置についても並行して議論すべきとの指摘があったという。
●大学体系への位置付けが明確化
前回の部会で、複数の委員から「新機関の法律上の位置付けについて明確にしてほしい」との要望があったことを受け、文部科学省から案が示された。
新機関は4年制大学(狭義の大学)・短期大学・大学院と同等に、「大学体系」として位置付ける。この点に関しては各委員から特に異論はなく、ほぼ決定と見てよい。
●根強い既存の大学との差別化議論
前回に引き続き、今回の特別部会でも議論になったのは、既存の大学との差別化についてである。一部の委員から「看護」など「師」の付く職業の養成はまさに新機関の役割そのものだが、すでに今ある大学で実施しているのではないかとの指摘があった。
これに対して、「看護」に関しては「大学」にしているが故に技術指導が十分でないという課題があり、「職業教育」をベースとする新機関ならこうした課題を解決できるはずであるという見立てが別の委員から示された。
特に今回の新機関では、今はそうした養成機関を持っていない新しい領域、今後、日本の生産性向上に寄与する、産業界から望まれているサービス産業などを主対象として考えていることが永田部会長からも説明された。
細かい文言の修正などはあるものの、全般に粛々と進捗している印象で、制度化に向けた議論は深まってきている。
第11回は2016年2月26日(金)の開催予定です。