2015.1228

関西大学

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高校教員を対象としたアクティブラーニングの研修会を実施

ワークに取り組む高校教員

関西大学は2015年11月28日と12月12日の2日間、公募した高校教員を対象に「アクティブラーニングを創る!」と題する研修会をJR大阪駅近くのグランフロント大阪で開いた。さまざまな教科を担当する高校教員32人が参加。講義とワークを繰り返し、アクティブラーニング(以下、AL)の理論と実践について理解を深めた。


●高校と大学の間に見られるギャップ

 2日間にわたる研修は、講義とワークショップをまじえて行われた。個人ワークとその成果をグループ内でシェアするワーク、グループ学習を通して個々の理解を深める学習法のジグソー法を実践・理解するワークなどが行われた。
 講師を担当した関西大学教育推進部の森朋子准教授は、今回の研修を実施した理由の一つに「高大のギャップ」を挙げる。「大学では知識を活用できる力の育成のためにALの導入が進んでいるが、高校での取り組みはまだこれから。高大の教育・学習の方法にギャップが見られる。高校と大学が共に協力し、教育接続を実質化することが必要」と語る。
 関西大学は、生涯にわたって創造的な思考と責任ある行動を実践し続ける「考動人」(Lifelong Active Learner)の育成に全学で取り組んでいる。修得した知識や技術を活用できる学生を育てるため、授業にALを積極的に取り入れており、高校教員に対しても導入を働きかけたい考えだ。

●学習内容を深く理解するための手段

 森准教授によると、参加者の半数近くは、高校の授業にグループワークやペアワークをはじめとするALを取り入れていた。こうした状況の下、「実際に何をすればALと呼べるのか知りたい」というニーズが高かったという。
 研修を通して森准教授は、「何をすれば」よりもむしろ、「何のためのALか?」という意識の大切さを強調。学習目標到達のために、個々の生徒・学生が学習内容を深く理解する必要があり、ALはその手段であるという。座学等による知識の内化(修得)、ALによる知識の外化(活用)を繰り返すプロセスを授業の中で構築することが重要だと説明した。
 東京大学の2016年度推薦入試でもグループディスカッションが取り入れられるなど、知識だけでなく、知識を活用する力も求められる入試が増えつつある現状についても触れた。
 「終了後のアンケート等によると、初心者の先生はハードルの高さを感じた面もあったようだが、すでにALに取り組んでいる先生は、講義と実習を通じて、どのような授業設計をすべきか学んでいただけたようだ」と森准教授は言う。

●高校教員によるコミュニティーの形成を

 今後の課題として森准教授は、ALに積極的に取り組む高校教員のコミュニティー形成を挙げる。「高校でALに取り組む先生の多くは、まだ孤軍奮闘の状態」であり、教員同士が今後も連絡を取り合い、学び合えるコミュニティーを形成する必要性を感じるという。実際、会場では連絡先を交換する姿が目立った。また、参加者から森准教授に多くの問い合わせがあり、大学としてのフォローアップも課題の一つだと考えている。