2016.0224

3つの制度改正への対応

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3行でわかるこの記事のポイント

~中央教育審議会「大学教育部会(第42回)」傍聴報告~

2016年2月17日に行われた大学教育部会で、三つのポリシー策定のガイドライン、認証評価制度の改善案、SD義務化・専門的職員について議論されました。制度改正の施行日が確定しましたので、前回からの進捗と併せてご紹介します。


●ポリシー策定のガイドライン案とスケジュール

 策定単位は学位プログラムを基本としながらも、それとは別に全学や学部・学科単位の策定もあり得ることが、ガイドライン(素案)に明記されました。
 また、ディプロマ・ポリシー(DP)とカリキュラム・ポリシー(CP)は「一体性と整合性」が強く求められ、アドミッション・ポリシー(AP)はDP・CPと「一貫性」あるものと、違いが明確になりました。学生が身に付けるべき資質・能力と、それを達成するための教育は一体であるべきですが、受け入れる学生を限定的にすると、大学教育にとって重要な「学生の多様性」が損なわれかねないからです。APでは「卒業認定の要件や入学後の学修に要する資質・能力」に見合う「基礎的な知識の水準や専攻分野への関心、意欲、態度」などを示し、DP・CPとの整合性を図ります。
 学校教育法施行規則では、DPが「学位授与の方針」ではなく「卒業認定に関する方針」になります。大学以外に高専も規定を準用するためです。
 施行日は平成29(2017)年4月1日です。各大学は平成28(2016)年度中に三つのポリシーを策定し、平成29(2017)年度からDP・CPに基づいたカリキュラムへの改革を順次進めていくスケジュールです。入学者選抜方法の改革は、平成30(2018)年度入試に反映しますが、大きな変更がある場合には、平成31(2019)年度入試以降になります。

●認証評価制度の改善案とスケジュール

 「認証評価制度の充実に向けて」(審議まとめ素案)に、三つのポリシーの評価観点例として、「一貫性・整合性あるものとして策定されているか」「入学者選抜、教育の実施及び卒業の各段階における目標が具体化されているか」「組織的な議論を重ねた上で策定されているか」「実施状況の検証も踏まえて改善されているか」の4点が示されました。
 重点評価項目については、各認証評価機関において評価結果を段階別に示し、優れていると判断された場合には次回評価を簡素化する方針ですが、その簡素化例も追記されました。実地調査での確認事項の簡素化や、事前の書類提出での代替などです。
 特に優れた取組に関しては、情報発信することが強調されています。
 施行日は平成30(2018)年4月1日です。各大学の自己点検・評価の期間が考慮されています。

●SD義務化のスケジュールと「専門的職員」の方向性

 教育研究活動等の適切かつ組織的な運営を図るため、SDが義務化されますが、その対象者には、事務職員だけでなく教員や技術職員も含まれます。さらに学長も対象で、トップのマネジメント研修などが想定されます。
 施行日は平成29年4月1日です。各大学での研修計画・体制整備が考慮されています。

 一方、「専門的職員」については、各大学での専門的職員の配置がきわめて多様である実態に加え、特に小規模大学では業務の固定化が難しいため、新たな職として規定することについては、さらに検討の必要があるとされました。

次回開催は3月9日。間もなく審議のゴールが見えます。