2015.1224

早稲田大学

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早稲田大学が20年後、推薦・AO入学者を全体の6割に

早稲田大学は2015年12月2日、入試改革の方向性と具体的な展開について発表した。記者説明会では、2018年度入試で初めて学部横断型AO入試を導入することなどを説明。鎌田薫総長は、今後20年をめどに、現状、全体のおよそ4割を占めている推薦・AO入試による入学者の割合を、6割程度まで増やす考えを表明した。

発表内容はこちら:
http://www.waseda.jp/top/news/35425



●地方からの学生の獲得に注力

 鎌田総長は記者発表で、自学の実態や方向性を次のように説明した。

  • 大学入試を変えることによって、現状では入試で合格することを最終的なゴールに据えて、唯一の答えを導き出す勉強をしている初等中等教育のあり方を変えたい。
  • 早稲田大学全体で見ると、AO入試による入学者が最も成績がよく、指定校推薦がこれに続く。
  • 多様な入試制度をさらに広げ、多様な学生を獲得したい。
  • 入試は、入学後の教育や学生生活支援と一体的に改革する。
  • この30年間で10%減少した地方出身の学生を取り戻すため、高校での標準的な教育内容を反映したセンター利用入試を引き続き取り入れるなど、地方の受験生に配慮した入試を行う。
  • センター試験の後継として検討されている大学入学希望者学力評価テストについても、内容を見定めたうえで前向きな活用を考える。

●第一志望者の多さを誇れる変革に挑む

 2018年度に導入するAO入試は「地域貢献型人材発掘入試(仮称)」。自分が地域にどう貢献できるか考え、そのために早稲田大学の教育資源をどう活用できるか調べたうえで出願してもらうという。複数の学部が参加を表明しており、各学部とも若干名を募集。
 書類審査、小論文、各学部のアドミッション・ポリシーとの合致度をみる面接などによる選考を予定している。センター試験の3教科で8割程度得点することを課し、高い学力も求める。
 入学後は、所属学部のカリキュラムに加え、地域連携プログラムをはじめとする多彩な学内資源の活用を推奨し、グローバルリーダーを育成する。
 全学共通の入試を実施する「入学者選抜オフィス」が一括して出願受付と選考を行う。同大学では、学部縦割りで複雑化した入試を全学的な方針の下で集約する方向をめざしており、この新入試もその試みの一つだ。
参考:
http://www.shinken-ad.co.jp/between/backnumber/pdf/2015_6_tokushu06.pdf

 鎌田総長は「教科型試験のみで合否を決めるタイプの入試の割合を見直し、志願者数の多さではなく、熱烈な第一志望者の多さを誇れるように変革する」と表明。「今の日本の高等教育に、入試改革を先送りする余裕はない。今回の発表は、早稲田は前に進んでいくというメッセージだ」と述べた。