2015.1020

北海道科学大学

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3行でわかるこの記事のポイント

求める力を伝え、育てて受け入れる「新ガリレオセミナー」を開始

    新ガリレオセミナーでのセグウェイの乗車実験の様子

 

 北海道科学大学は、2016年度入試からAO入試の新しいエントリー方法として「新ガリレオセミナー」を導入した。講義、グループディスカッション、実験などを通して、科学的思考力、自己の考えを伝える力、他者と協働する力、自ら学ぶ力などを高める。その過程や成果をルーブリックによって評価・フィードバックし、さらなる成長を促したうえで出願に導くというものだ。

 同大学のAO入試は、以前から実施されている「AOセミナー」と「新ガリレオセミナー」のいずれかを受講したうえで出願する。2016年度入試では、前者に189人、後者に34人がエントリーしている。2015年度入試では、AOセミナーに254人がエントリーし、119人が出願許可を得て81人が合格した(いずれも4年制大学のみの人数)。

 AOセミナーは、主に「自分の得意分野に気づいている受験生」がエントリーするもので、学科単位で開講するテーマを複数の中から選択し、作品づくりや講義受講の後でレポートの作成などに取り組む。出願を許可されると、作品・企画・レポートなどの成果発表と面接によるAO入試を受ける。

 一方、新ガリレオセミナーは学部単位で開講され、主に「北海道科学大学に入学したい」という意欲を持つ受験生がエントリーする。学部ごとに内容の異なる3回のセミナー(全回参加必須)を経て、出願許可者を決め、レポート発表と面接による試験を行う。高校2年生もセミナーのみ参加が可能だ。

 2つのセミナーの違いについて、入試広報センター長の石田眞二教授は、「AOセミナーは作品や企画を評価してほしいという受験生、ガリレオセミナーは普段の授業に積極的に取り組む姿勢を評価してほしいという受験生に向いている」と説明する。

 2016年度入試における工学部の新ガリレオセミナーは「パーソナルモビリティ*1」をテーマにしたものだった。1回目は「これからのパーソナルモビリティ」について講義を行い、レポートをまとめた。2回目は「公道規制」をテーマにグループディスカッションを行い、提言をまとめた。3回目は実際にセグウェイ*2に乗車して提言の実現性について検証する実験を行い(写真)、レポートに仕上げた。

 また、保健医療学部では「片方の足に障害をもっている方の歩行では、杖をどのようにつけばよいか」をテーマに、杖をつくのは障害のある側の足、障害のない側の足のどちらかを話し合い、実証実験を行った。

 新ガリレオセミナーにおける受験生の活動やレポートは、ルーブリックで評価し(図表)、面談でフィードバックする。成長実感を与え、さらなる成長を促す狙いがある。出願する学科については、大学側が受験生の適性を判断してアドバイスすることもあるという。

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 エントリー後に配付する「NEW GALILEO NOTE」には、受験生が学んだことを書き込み、教員もこれにフィードバックを記入する。セミナーの狙いや概要も記されているため、受験生や高校教員は何が求められるかを事前に把握できる。高校教員からは「進路指導に活用しやすい」、中学校教員からは「これからの小中高接続を考えるうえで参考にしたい」といった声が聞かれたという。

 石田教授は「準備すべきこと、求められることを理解し、積極的にかつリラックスしてセミナーに臨む受験生が大半で、普段通りの力を評価ができる点が特徴。ただし、手間暇が掛かる方法なので教員の負担が大きい。今後は職員にも面談や評価を支援してもらいたい」と話している。

*1 先進的な技術を使った主に1人乗りの小型移動機器
*2 立ち乗り型のパーソナルモビリティ