英語教育に関する進研アドの高校調査② 英語を活用した学びを大学に期待

●教員は「コミュニケーション力向上→専攻分野で活用」というステップでの英語力向上を望む
●英語での専攻分野の意見交換や文献調査、論文執筆も期待
●生徒の7割弱が「外国人講師や留学生と英語で交流したい」

進研アドが高校教員と生徒を対象に実施した英語教育に関する調査結果の紹介の後編では、大学の英語教育に対する期待について取り上げる。教員も生徒も「自分の考えを英語で話す」取り組みを最重要視し、教員は英語で専攻分野の学びを深めることにも期待している。また、生徒は外国人との英語を使った交流機会を求めていることが明らかになった。
*「英語教育に関する進研アドの高校調査① 『話す力』の指導を最も強化」はこちら


●教員には「高大接続の観点からの大学への期待」を質問

 今回、実施された調査の概要は以下の通り。

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 調査結果の前編では、高校の英語教育が4技能をバランスよく育成することに加えて、プレゼンテーションやディスカッションなど、英語を「使う」ための授業に変わってきていることを伝えた。その状況下、教員と生徒は大学の英語教育にどのようなことを期待しているのだろうか。
 教員に「高校と大学における学びの接続の観点から、大学の『英語』の授業に期待する取り組み」について、選択肢を示してたずねた。1つだけ選択してもらった結果(最も期待されるもの)と複数選択してもらった結果を上下に並べて示している。
 

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 単一回答の場合も、複数回答の場合も、いずれも1位は「自分の気持ちや考えを英語で話す」だが、2位に違いが出た。単一回答の場合、2位以降は英語で専攻分野を深める意見交換や文献調査、論文執筆などの技能習得が挙がった。それに対し、複数回答では「英語で話された内容を理解する」が2位に浮上、これに次ぐ形で専攻分野に関わる英語活用の技能習得が挙がっている。
 この結果から、自分の気持ちや考えを話せて、相手の話も理解できるという、まず基礎的なコミュニケーション力を身につけたうえで、それを活用して専攻分野の学びを深めてほしいとの考えが読み取れる。
 また、複数回答でも専攻分野と関連する項目はいずれも多くの高校教員が挙げていて、専攻分野の学びを英語で深めていくことの重要性が認識されているようだ。

●生徒は「考えを英語で表現」「身近な話題の会話」などの能力向上を期待

 一方、生徒に同じ選択肢を示して「大学の英語の授業で最も取り組みたい内容」を1つ選んでもらったところ、下のような結果になった。

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 1位は教員と同じ「自分の気持ちや考えを英語で話す」。だが、2位は「英語で話された内容を理解する」、3位は「身近な話題について英語で受け答えをする」と、いずれも教員の単一選択では5位以下の項目で、教員と生徒との意識の違いがうかがえる。
 生徒に対する「大学で外国人講師や留学生との英語での交流に参加したいか」という質問では、「参加したい」(とても+機会があれば)が70%近くに上った。

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 これら2つの結果から、生徒にとっては専攻分野の学びを深めるための英語技能向上よりも基礎的なコミュニケーション力の向上が優先され、その実践機会を大学に期待していると言えそうだ。
 さらに、本記事ではスペースの関係で紹介できないが、語学系や国際系の志望者だけでなく、理工系を含むどの分野の志望者でも同様の傾向が見られたのも大きな特徴だ。
 また、このほかにも、英語検定の受検サポートや留学奨学金制度の充実、グローバルコースの設置など、各大学が強化しているグローバル人材育成への取り組みについての生徒の意識・関心についても明らかになっている。
 今回の調査から、社会の急速な環境変化を受けて、高校の英語教育が大きく変わってきていること、そしてその教育を受けている生徒は、高校までに受けてきた教育の延長線上として、大学の英語教育に対して大きな期待を持っていることがわかった。大学は高校までの英語教育の現状と成果を受け止めて、どのような英語教育が学生の成長につながるかを考えるタイミングにきていると言えるだろう。