英語教育に関する進研アドの高校調査① 「話す力」の指導を最も強化

●高大接続改革をふまえた授業の変化が浮き彫りに
●約65%の英語科教員が英語4技能のバランスを考慮して指導
●ほとんどの学校で外国人講師による授業を実施

進研アドは高校の教員と生徒を対象に英語教育の現状と大学への期待について調査し、このほど結果をまとめた。高大接続改革で英語4技能の育成が重視されていることをふまえ、スピーキング(話す力)とリスニング(聞く力)の指導に力を入れるなど、高校の英語の授業が従来とは大きく変化している状況が浮き彫りになった。大学は高校での教育成果を受け止め、さらに力を伸ばす教育を行う必要がありそうだ。2回に分けて報告する調査結果のうち、今回は高校での英語教育の現状を中心に見ていく。


●全国の高校教員200人、3年生800人の回答から知る英語授業の実態

 英語教育では、学校教育の中心だった「リーディング(読む力)」に「リスニング(聞く力)」「スピーキング(話す力)」「ライティング(書く力)」を加えた実践的な英語運用能力の育成が重視されるようになっている。大学入試センター試験の後継として2021年度入試から始まる大学入学共通テストでは、リスニングがリーディングと均等配点になり、さらに、英語4技能を総合的に評価するために民間の英語資格・検定試験が活用される。今回の調査は、大学入試改革により英語教育における高大接続が大きく変わる中、高校の英語の授業がどう変化し、教員と生徒は大学の英語教育にどのようなことを期待しているのかを探るために実施した。  
 調査概要は以下の通り。

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●高校では「話す力」「聞く力」を中心に指導を強化

 教員に「大学入試に英語4技能試験が導入されることに対して、指導を強化している技能」を強化している順に選んでもらったところ、「話す力」が40%近くで最も多く、次が「聞く力」の26%だった。

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 「話す力」は従来の英語教育で指導が最も手薄になっていた技能であり、今後、大学入試で標準的に評価されることに高校が備え始めたと言える。「聞く力」についても、大学入試センター試験の英語の配点が「筆記200点+リスニング50点の計250点」であったものが、大学入学共通テストでは「リーディング100点+リスニング100点の計200点」と均等になるのを受け、指導を強化しているようだ。
 英語科教員のみを対象に、いくつかの項目を挙げて「自身の授業でどの程度実行しているか」を4段階でたずねた中で、「4技能のバランスを重視した指導」についての回答は下のとおり。実行しているのは「十分」11.4%、「まあ」54.4%の計約65%で、英語4技能のバランスを重視していることがわかった。

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●授業でアウトプットの機会を設けるほかICTの活用も進む

 英語4技能習得のために実際に授業で取り組んでいることを自由記述でたずねたところ、以下のような回答が寄せられた。教科書の単元を教えるだけでなく、英語4技能をバランスよく指導するために授業を工夫している様子がわかる。

<アウトプット機会の設定>
・自分の考えを簡単でもいいから英語で話す
・生徒同士が英語で会話する活動
・自分の意見を他人と共有する機会を設けている
・英語でのディスカッションを増やした
・読んだり書いたりしたことをふまえて話したり書いたりする活動
・スピーチコンテストやプレゼンテーションコンテスト
・少人数での習熟度別・対話的授業

<機器・システムの活用>
・全学年でリスニング教材を購入させ、従来以上に時間をかけて指導している
・タブレット端末を用いたリスニング
・オンラインスピーキングのトレーニング

<定期テストの見直し>
・定期テストで200字ほどの自由作文を必須にした
・定期テストで30分のリスニングを実施

●5人に1人の生徒が週1回以上、外国人と英語で会話

 ALT(外国語指導助手)も含めると、ほとんどの高校に外国人講師が在籍している。

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 自由記述では、「ALT(外国語指導助手)を含めたチームティーチングでゲーム形式の会話をさせる」「週1回、クラスを2つに分けてALTとのチームティーチングでスピーキングのトレーニングをする」といった回答があった。 
 一方、生徒に、学校で外国人と英語で話す頻度を聞いたところ、5人に1人が週1回以上あると答えた。月に数回以上あると答えた生徒も含めると4割に達する。 
 高校教育において、すでに外国人講師の起用は一般化し、生徒も外国人との英語での会話を日常的に経験している。

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 高校では今、英語4技能をバランスよく育成することに加えて、プレゼンテーションやディスカッションなど、英語を「使う」ための授業が展開されていることが明らかになった。

 次回は、高校教員と生徒が大学の英語教育に期待していることを調査結果から紹介する。