新設の中高一貫教育校のほとんどが「国際理解」を重視-文科省調査

●中高一貫教育校は2014~2016年度で145校増加し595校に
●2016年度新設の11校中9校が「国際理解教育」を重視
●中学の授業時間大幅増、高校で英語のリサーチペーパーを書かせる例も

文科省はこのほど、「高等学校教育の改革に関する推進状況」の2016年度版を公表した。2014年度から2016年度にかけて中高一貫教育校は145校増加して595校となった。公立で設置されていないのは富山、鳥取の両県のみ。既存の高校が新設中学校等との一貫教育に変わることによって進学実績の向上を図る例が多い。大学は自学のエリア内の高校や志願者が多い高校が一貫校に移行する場合、教育や進路指導の変化と特色について把握し、学生募集に反映することが重要になる。
*併設型と連携型の中高一貫教育校は、中学校・高校1組を1校として集計している。
*文科省の発表はこちら
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/detail/1384268.htm


2017年度以降も26校の設置が予定されている

 この調査は2013年度までは毎年実施していたが、今回は3年ぶりで、今後も3年おきに実施するという。
 1999(平成11)年度以降の中高一貫教育校設置数の推移は下のグラフの通り。2016年度の新設は11校で、2014年度と2015年度は合わせて134校。2008年度以降の新設は毎年10~30校程度で、2014~2015年度の急増ぶりが目立つ。2017年度以降も26校の設置が予定されている。

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 2016年度新設の中高一貫教育校は下表の通り。新設11校のうち公立は6校で私立は5校、設置形態別に見ると併設型が10校で連携型は1校となっている。
 ①環境教育、②キャリア教育・職業教育、③国際理解教育、④スポーツ、➄地域人材の育成、⑥理数系教育、⑦その他に分類された「重視する教育分野」(複数分野にわたる学校もある)のうち、特に多いのは「国際理解教育」で9校、続いて「キャリア教育・職業教育」が6校となっている。

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●ディベートやプレゼンテーションで実践的な英語力を育成

 「国際理解教育」を重視する中高一貫教育校の事例を公立と私立1校ずつ紹介する。
 沖縄県立開邦高校(1学年200人)は、中学校の新設に伴い一貫校化。「開邦スタンダード」(6年間の数値目標)として、「国公立大学現役合格率70%以上」「難関大学合格者数40人以上」「医学科合格者数10人以上」などを掲げる。
 中学校の主要5教科で高校の学習内容の先取りや発展学習を実施。英語の授業は原則英語で行い、GTEC for STUDENTSを受検させる。高校では学術探究科の生徒が2年次から学術理科と学術文科に分かれ、学術文科ではディベートやプレゼンテーションを通して実践的な英語運用能力を育てる。「English Presentation」では興味のあるテーマについて調査とプレゼンテーションを行い、英語のリサーチペーパーをまとめる。
*開邦中学校・高校の学校案内はこちら
http://www.kaiho-h.open.ed.jp/pamphlet.pdf

 千葉県にある私立の麗澤中学校・高校は、同じ法人内の既存の中高が一貫教育校となり教育課程の特例が認められるようになったケースだ。中学校では、主要5教科の授業時間を文科省が定める基準より大幅に増やして基礎力を構築。全員がGTEC for STUDENTSを受検し、3年次までに高校1、2年生レベルに到達する生徒も多いという。
 高校2年次から分かれる3つのコースのうちIL (International Leadership) コースでは、難関大学の外国語系・グローバル系学部に加え、海外の大学への進学も視野に入れた教育を行う。メーンプログラムの一つ「ニューズプレゼンテーション」では、チームごとに15分間の英語のニュース番組を作成し、キャスターに扮して観客の前で演じる。2年次には全員参加の6週間のオーストラリア短期留学も実施している。
*麗澤中学校・高校のホームページはこちら
http://www.hs.reitaku.jp/

 中高一貫教育校は、今後もこのような英語教育の強化と連動する形で展開されるケースが多いと予想される。大学に対しては、高い能力を修得した生徒の受け皿となるハイレベルの語学や異文化理解の教育が期待されていると言えそうだ。