模試を活用したPDCAで進路意識を高める―北海道札幌清田高校の事例

●1年生の夏から模試デジの志望校登録と学習計画の自己管理を徹底
●「知っている大学名の登録」から本気の志望校探しへと深める
●2年生の1月を「3年生0学期のスタート」と位置付ける

高校の進路指導において模擬試験は、学力の把握のみに使われているわけではない。目標設定と計画的な学習を促すためのツールとして模試を活用し、PDCAサイクルの中で志望校について考えを深めさせる指導をする高校もある。一例として北海道札幌清田高校の取り組みを紹介する。

※『Between』2016年8-9月号の特集でも、進路指導のデジタル化の事例を紹介しています。下記URLから、併せてお読みください。
http://shinken-ad.co.jp/between/backnumber/pdf/2016_8_tokushu08.pdf


LHRに各自のスマホで志望校登録

 北海道札幌清田高校は1975年創立の札幌市立高校で、1学年約320人のほとんどが大学に進学する。2015年度卒業生(2013年度入学生)のうち国公立大学合格者は87人。それまでの60人前後から一気に増えた背景には、1年次から常に目標を定め、志望校を意識しながら計画的に学習するよう促す進路指導があった。その軸に位置付けられたのが模試だ。進路指導の経験がある佐々木佑季教諭も、2013年度入学生の3年間の担任としてこうした指導に取り組んだ。

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 佐々木教諭ら各担任は、1、2年次の模試回ごとに、進研模試デジタルサービス(以下、「模試デジ」)と能率手帳を活用し、目標設定→学習計画→模試受験→自己採点と振り返り→復習と次回の目標設定というプロセスを繰り返させる指導を続けた。
 1年次、初めて受験する7月模試の前に、LHRなどの時間を利用してパソコン教室で模試デジの使い方を指導。ほとんどの生徒が自分のスマホで登録・入力をした。進学情報サイトも併用しながら、興味・関心に合った大学の調べ方を教え、志望校を4つ書くよう促した。模試の資料でそれらの大学の合格ラインを調べさせ、教科ごとの目標点も登録させた。
 さらに、生徒向けの能率手帳に、週ごとの学習、部活動、生活等の目標と模試本番までの学習計画を記入するよう指導。行事や部活動、個人の予定などを書いた上でどの日にどれくらい学習時間がとれるかを常に意識できるようにし、実際の学習時間も毎日記録させた。佐々木教諭のクラスでは、朝10分間の読書タイムに全員一斉に記入していたという。月曜日には前の週を振り返り、計画通りにできたか5段階で自己評価するというルールだ。
 模試が終わったら、模試デジで自己採点して目標の達成度を確認し、それまでの学習を振り返る。決められた期限までに模試デジ上で復習を終え、自分の課題を把握した上で次の模試の目標を設定するという流れだ。

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学力レベルは気にせず、まずは「行きたい大学」を探す

 担任は、各生徒の志望校登録や学習計画、模試の復習等の状況を模試デジや手帳で確認し、励ましたり助言を与えたりした。1年次の7月模試の段階では、志望校の欄を「とりあえず知っている大学名で埋める」という生徒も多いようだが、それを尊重した。以降、大学について積極的に調べ、自分の学力レベルに合っているかは気にしすぎず、まずは「行きたいと思える大学」を見つけていくよう、具体的な調べ方、考え方と合わせて継続的に指導。佐々木教諭は、「志望校について考えを深める上で模試デジがうまく機能した」と振り返る。
 前述のPDCAサイクルは1、2年次の模試計6回で繰り返された。3年次は模試の回数が増え、追われるようになることもあり、全員一律の志望校登録や学習計画は行わなかった。「自律性を養うために1、2年次の指導を徹底した。3年次にはそこで培った力を発揮してもらい、自己管理に任せた」と佐々木教諭。

2年生2月の「志望校宣言」で進路実現を決意

 低学年のうちから大学についての情報検索を習慣づけ、志望校を意識させる同校では、2年次の秋以降、早々と受験モードへの切り替えを図る。10月には、関西への見学旅行の自主研修時間を利用して、大学見学を実施。各自、関心がある大学1、2校を訪問する。11月は地元・北海道や東北、首都圏の国公私立大学20数校に依頼し、校内で半日の出張授業を一斉に実施。1年生も含め、それぞれ興味がある授業を受講する。同月に進路集会、翌12月には志望校別の進路集会を開き、大学ごとの学部・学科の特色や入試制度について調べ、仲間同士で情報を交換する。
 これらの活動を経て、3年生のセンター試験本番で校内の受験ムードがピークに達する2年生の1月を「3年生0学期のスタート」と位置付けている。12月から下書きを始めた「志望校宣言」を、教員の助言の下で練り直し、志望校と志望理由、合格に向けた具体的な努力目標をまとめる。2月の志望校宣言集会では、校長を前に代表が自分の宣言を読み上げる。進路の実現を決意し、目標に向かって全員で頑張ろうと誓い合った後、いよいよ3年生1学期を迎える。
 教員になって8年目、2016年度は3年生の副担任として進路指導に関わる佐々木教諭は、「高校における進路指導は生徒の人生を大きく左右する。生徒一人ひとりと真剣に向き合って将来について話し合いたい」と言う。「どの生徒も成績が伸び悩む時期があるが、あきらめずに努力を続けることが大事だと励ます。受験をそれぞれの成長の機会にできるよう、支えていくような進路指導をしたい」。