2016年03月15日

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教育行政

「教育の情報化」に関する各省庁の取り組み

一般社団法人 日本教育情報化振興会主催『平成27年度「教育の情報化」推進フォーラム』参加報告

一般社団法人日本教育情報化振興会(JAPEC&CEC)は、2016年3月4日(金)、5日(土)の2日間にわたり『平成27年度「教育の情報化」推進フォーラム』を開催。
講演には、文部科学省生涯学習政策局情報教育振興室長の新津勝二氏と、総務省情報通信利用促進課長の御厩(みまや)祐司氏が登壇し、「教育の情報化」をテーマにした各省庁の取り組みなどについて報告があった。



教育改革にはICT環境整備が必要


 最初に、文部科学省の新津氏から『教育改革の方向性と「教育の情報化」』と題した講演が行われた。冒頭、世界における日本の存在感低下や少子高齢化、生産年齢人口減少など日本の課題について触れ、そういった状況も踏まえた教育改革(学習指導要領改訂、高大接続改革)が進んでいる状況、そして改革推進に伴うICT活用・整備の必要性などが述べられた。

 学習指導要領は2020年度から小・中・高と段階的に改訂が進む予定で、アクティブラーニングの視点に立った学びの推進や新たな情報科目の設定など、ICT活用の必要性が想定される内容も多く含まれている。

 新津氏は、学習指導要領は原則「全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにする」とされていながらも、ICT環境整備においては地域間格差が拡大している現状を指摘。次期学習指導要領の重要なキーワードである「アクティブラーニング」の推進に向けてICT活用が効果的であることを踏まえ、将来を見据えた環境整備を進める必要性があると述べた。

 文部科学省はこれまで「教育ICT活用実践事例集(2010~2012年度)」の作成や配布、「ICTを活用した教育の推進実証事業(2014年度)」の実施などをとおし、教育における情報化の推進や教育的効果の検証を行ってきた。実証事業では、タブレット端末を活用した小学校の方が「知識理解」「思考判断表現」「技能」のすべての観点において成績が伸びたという。

 新津氏は、ICT導入の地域間格差拡大の要因の一つとして、整備に関する予算が各自治体の措置であることを挙げた上で、「今から環境を進めていかないと、10年後、教育力の格差はもっと大きくなる。ICT活用の効果も実証されてきているので、ぜひ予算化を進めていただきたい」として締めくくった。


なぜICT環境の整備が進まないのか


 続いて、総務省の御厩氏から「総務省における教育情報化政策」と題した報告が行われ、文部科学省の新津氏から指摘のあった「ICT環境整備」について、なぜ整備が進まないのか、検証結果の報告もなされた。

 NTTコミュニケーションズ(株)が2015年に実施した教育委員会対象の調査では、ICT環境の整備を進める障壁として、半数以上が「予算」を挙げたという。その状況を受け、全ての自治体の財政力と教育用コンピュータ整備状況の相関性を調べたところ、財政豊かな59市町村(財政力指数1.0超)におけるパソコン1台当たりの平均児童生徒数が8.4人であったのに対し、財政力指数下位の50市町村では1.9人であったという。

 御厩氏はこの結果から、整備が進まないのは必ずしも予算だけの問題とは言えず、活用や導入の促進に向けて、有用な情報提供による理解促進も重要だと述べた。

 また御厩氏は、総務省が考えるICT活用促進策のキーワードとして「クラウド」を挙げ、同省が進めている「先導的教育システム実証事業」における「教育クラウド・プラットフォームの標準化・普及」を今後の主要政策の一つとして紹介した。

 この教育クラウド・プラットフォームは、学習アプリや教員・児童生徒間の連絡・交流機能、児童生徒の学習・行動履歴の蓄積機能などを備え、遠隔地やさまざまな理由で登校できない児童生徒への対応、またコスト面も含めクラウドのメリットを生かした学習システムで、2016年2月現在、国内外71の学校等で利用されており、成果の検証も進めているという。

 講演の最後には、総務省も含め多くの団体が協同して教育の情報化を推進する協議会「ICT CONNECT21」の紹介とともに、総務省も積極的に連携していきたいと意気込みが述べられた。