協働により創出する教育の未来

~「教育CSRフォーラム2016~協働により 創出する 教育の未来~」参加報告~

キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアム(代表 若江 眞紀 氏)は、2016年3月10日(木)、「教育CSRフォーラム2016」をパナソニックセンター東京ホール(東京・有明)で開催し、約100名の教育関係者・企業人が参加した。


積水化学工業株式会社の取り組み

 まず、積水化学工業株式会社から、「積水化学グループの次世代育成支援」と題して、2015年11月の「第6回キャリア教育アワード」で経済産業大臣賞・大賞を受賞した取り組み事例の報告があった。

 同社の「社会貢献活動方針」には、環境・次世代・地域コミュニティへの貢献が掲げられており、この中に産学協働教育は位置づけられている。具体的には住宅部門による「"住まいと環境"学習プログラム」、化学部門による「化学教室プロジェクト」等、医療系部門による「消化と吸収のしくみと健康」等の、学校への出張授業の実践である。

 受講対象はプログラムによって小学生・中学生・高校生と異なるが、学校現場の教員と同社担当者との事前の打ち合わせにより、この出講が学習指導要領のどの部分の何についての教育実践なのかを同社と学校の間で明確にしたうえで実施していることが、教育の質保証の点で重要である。

 同社の産学協働教育プログラムは、「折れない・急がない・背伸びしない」を合言葉に、継続できるものを長く実施していく方針とのことだが、出張授業を実施した社員が、授業を通じて社会的責任と役立ち感を再確認し、日常の仕事に対するモチベーションが上がる副次的効果ももたらしている。

オリンピックとパラリンピックを題材にしたキャリア教育プログラム

 続いて、パナソニック株式会社から、同社が実施する「オリンピックとパラリンピックをテーマにした教育支援活動について」の事例報告があった。

 同社の「私たちの基本理念」には「価値創造による社会貢献」「社会との密接なつながり」がうたわれており、その実践として次世代教育を重要な社会貢献活動に位置づけている。長くオリンピックスポンサーを務めてきた同社は、2020年東京五輪開催決定を機に、オリンピックやパラリンピックを題材とした21世紀型能力の育成を目指すキャリア教育プログラムの提供を開始した。具体的には「大会の意義とそれを支える人々」・「多様性と国際理解」の2つのプログラムで、今後はテクノロジーやイノベーション、バリアフリー等のテーマにも拡大していく予定である。また同社は東京・江東区に、オリンピックおよびパラリンピック教育を支援する日本初の展示施設 「Active Learning Camp」 を開設した。テーマであるオリンピック精神の学習を起点に、そこに集う世界中の多様な価値観・文化・生活習慣について、双方向型・参加型で学びを取り入れた教育展示空間である。

高校生の教育環境を把握した教育協働

 両社の事例紹介からは、学習指導要領準拠の再確認やアクティブラーニングの導入など、企業側が現在の学校教育の現状や今後の方向性に対する深い理解を持って、産学協働教育のプログラムを開発しようとする姿勢が見える。近年広く行われている大学から高校への出張授業やオープンキャンパスでの模擬授業の展開を考えるうえで、これら企業の教育協働の姿勢は参考になると思われた。